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コラム石垣 2021年1月21日号 神田玲子

新型コロナウイルス感染症に翻弄(ほんろう)された昨年は、政治家のリーダーシップの価値を痛感した一年だった。緊急時には、リーダーの采配一つに住民の命がかかる。国や大都市のリーダーばかりに注目が集まるが、全国には、国や都よりも先手先手で対応してきた地域がある。

▼昨年秋、鳥取県知事から話を聞いた。武漢でのニュースが伝わり始めた頃から強い危機感を持っていたという。感染が拡大すれば、県内の十数の病床がたちまち感染者で埋まると認識し、いち早く地元の医師会の協力を仰ぎ、病床の確保に乗り出した。自分たちの顔の見えるコミュニティーが大きな力になると考え、医師会の協力を仰いだのだ。一つずつ病院を巡り説得を行い、病床数をいち早く増やしていった。地域によって状況が大きく異なる中で、国の枠組みに合わせるのではなく、個々の地域がアプローチしやすい方法を取ることが戦略的だと考えた。自身の置かれている状況を見極め、独自の判断を下して、現時点で死亡者数が1人と成果を上げている。

▼危機にこそ見えてくるリーダーの「何か」がある。危機と戦う中で、希代のリーダーとして磨きがかかっているのかもしれない。今回のコロナ禍は、政治的リーダーシップを見極める好機ともいえる。

▼いや、もっと重要なのは、今回の危機を経験する中で、われわれがリーダーに何が必要か分かったことだ。政治的パフォーマンスに目を奪われることなく、次のリーダーとしてふさわしい人を選ぶ立場にある。リーダー選びに失敗するとどうなるかは米国の例から明らかだ。危機で試されているのはリーダーだけではない。民主政治を支えるわれわれこそが試されている。

(NIRA総合研究開発機構理事・神田玲子)

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