昭和4年の創業以来、伝統製法の下に和装用足袋や地下足袋などをつくり続けてきたきねや足袋。そんな同社が平成25年に世に出したランニング足袋「きねや無敵」が、市民ランナーを中心にじわじわと人気を集め、売れ行きを伸ばしている。このありそうでなかった商品が誕生したきっかけや、脚光を浴びるに至ったある偶然とは――。
靴のクッションは足を保護する一方で機能を衰えさせる
埼玉県北部にある行田市は、かつて日本人の足元を支えた足袋の国内最大産地として栄えた「足袋のまち」である。生産のピークは昭和10年代前半で、当時は約200軒の工場や事業所が集積していた。ところが、戦後に洋装が主流になるにつれて、生産量は減少の一途をたどり、今や足袋製造業者は数軒を残すのみとなっている。
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