事例3 笑顔が満ち溢れる店づくりで県民から愛される存在に
エイアンドダブリュ沖縄(沖縄県)
沖縄県内でハンバーガーレストラン「A&W」を26店舗展開しているエイアンドダブリュ沖縄は、利用客にも従業員にも感謝の気持ちを持つことを忘れず、地域に密着した店づくりに取り組んできた。昨年11月に創業50周年を迎えたのを機に、社会貢献を目指した活動にも力を入れている。
沖縄で絶大な人気を誇るハンバーガーレストラン
「いらっしゃいませ! ようこそA&Wへ!」
お店に足を踏み入れると、笑顔の素敵なスタッフの明るい声が響く。日本初のファストフードレストランであるA&Wは、沖縄がまだアメリカの統治下だった1963年11月に1号店(屋宜原店)をオープン。ドライブインスタイルやビッグサイズのハンバーガーがアメリカ人の人気を呼び、本土復帰後は、うちなーんちゅ(沖縄県民)好みのメニュー開発にも力を入れてきた。
看板メニューの「モッツァバーガー」は、ビッグサイズのパティにたっぷりの野菜とフレッシュトマトが2枚。100%ビーフのビッグでジューシーなハンバーガーだ。
さらに、タチアオイやワイルドチェリー、バニラ、甘草の根など14種類のハーブを使った炭酸飲料「ルートビア」もA&Wでしか味わうことのできないメニュー。店内では毎日おかわり無料なのがうれしい。
「おかわりのときに、お店のスタッフがお客さまと会話するきっかけになり、フレンドリーな関係が築けると考えたのです」(平良健一代表取締役社長)
アルバイトの高校生には仕事を通じて学んでほしい
店舗のスタッフはアルバイトの高校生も多い。平良社長は「卒業して就職したり大学に進学したりする前の登竜門になればと思って預かっています。仕事を通じて社会に出る前の人格形成につなげたいし、お客さまからお金をいただいて対価を払っているという意識で仕事をしてほしい」と考えている。
「今は情報過多でシャイな子が多い。特に沖縄の人は自己主張ができないところがあるけど、勉強しながらステップアップして、一歩踏み出せるようになる環境をつくっています。厳しく教えることもあるけど、3年間継続すると随分変わりますよ」
A&Wの接客は「ホスピタリティー」が基本。「お客さまに楽しく笑顔で食事してもらうのが一番。僕らも『ありがとう』と言うけど、お客さまから言われるとうれしいよね。それを目指しながら頑張っています。笑顔で接客することは永遠のテーマ。スタッフにも繰り返し伝えています」。
楽しんでもらえるイベントを常に企画
各店舗では、バースデーパーティーや節分豆プレゼント(2月)、ひな祭りぬりえコンテスト(3月)など、年間を通じてさまざまなイベントを実施している。全店舗の中で最も広い牧港店では、7~8月に盆踊りや夕涼み会も開催。芝生広場を地元の保育園に開放し、近所の人も参加して一緒に楽しんでもらっている。
「盆踊りに参加した保育園児と店舗のスタッフが、数年後にアルバイトと店長という形で再会することもあります。それも地域に密着して活動しているからだと思います」(総務部課長の松嶋潮さん)
平良社長は「地元のお客さまも観光客も大切。イベントは、毎年工夫しながら常に新しいものを企画しています」と話す。「高校生も含めたスタッフにバルーンアートのつくり方を覚えてもらい、それを子どもたちに教えるというイベントも開催しました」。
「季節感が大切」と、時期に応じたさまざまなキャンペーンも展開。2月に「プロ野球応援コンボ」を提供したり、夏は観光客を対象にした企画を考えたりしている。
50周年を機に新たな活動もスタート
昨年11月、A&Wは創業50周年を迎えた。
「50周年を機に、より社会に貢献することを目指して新たな活動を始めました」と平良社長。その一つが、ピンクリボン・グリーンリボンを応援するプロジェクトだ。マイカップを持参してドリンクを購入すると、売り上げの一部(20円)をピンクリボン沖縄に寄付する「マイマグでちょっといいこと。プロジェクト」は、沖縄の全ての女性と家族の幸せを願って始めた。
「以前、環境問題に貢献できればとペーパーカップをマグカップに替え、さらにマイカップを持参したお客さまはドリンク代を割り引きするサービスを実施していたのですが、その分をピンクリボンに寄付することにしました。お客さまにとっては割引がなくなりましたが、『社会貢献活動に参加している』と思っていただけるのではないでしょうか」(松嶋さん)
平良社長は、15年前に「お客さまにも従業員にも『ありがとう』という感謝の気持ちを忘れない」という思いを込めた基本理念を考案した。
「消費増税など、社会の動きや会社を取り巻く環境は大きく変わってきています。これまでも地元の人に支えられてきましたが、50周年を機に企業理念をつくり、盤石な経営体制を構築していきます」
これからもA&Wは、地元の人たちへの感謝の気持ちを持ち、地域に密着した店づくりを続けていく。
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