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コラム石垣 2021年6月21日号 中山文麿

新型コロナウイルスの変異株が世界的に猛威を奮っている。イギリス変異株は従来株と比べ1・5倍感染力が強く、インド株はさらにそれの1・5倍も強い。ウイルスの変異は大変な脅威だ。

▼新型コロナウイルスはRNA(リボ核酸)ウイルスであり、DNAウイルスに比較して突然変異を起こしやすい。遺伝子の数は約3万個あり、2週間に1回の割合で変異を起こしている。とりわけウイルスの表面の突起部は変異しやすい。この特徴は同じコロナウイルスの重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)には見られなかったことである。

▼ウイルスの変異とは、ウイルスが増殖する際に遺伝子のコピーミスを起こすことだ。突起部は約1300個のアミノ酸から成り、例えば、インド変異株ではL452RとE484Qの2カ所に変異が起こっている。L452Rは452番目のアミノ酸のL(ロイシン)がR(アルギニン)に変わっている。この変異によってウイルスのタンパク質の構造や性質が変化し感染力などが変わる。

▼このウイルスは遺伝子の配列から中国雲南省の洞窟に生息しているキクガシラコウモリを自然宿主としている。現在接種されているファイザー社のメッセンジャーRNAワクチンは変異ウイルスにも効果がありそうだ。これから先進国はワクチンによってこのウイルスを撲滅していくが、発展途上国でも同様に撲滅する必要がある。そうしないと、発展途上国の人を宿主として新しい変異株をつくり出し、先進国の人々を襲うことになる。

▼従って、COVAXなどの国際的枠組みを通してワクチンを発展途上国にも提供し、地球上から新型コロナウイルスを根絶しなければならない。 (政治経済社会研究所代表・中山文麿)

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