病気にならないように教育する、気付きを与える商品・サービスを提供
株式会社Temari 代表取締役 歌野 真理(うたの・まり)
好きで続けられ、生涯の仕事を追求した結果、起業へ
私自身、高校生のころからビジネス系に興味を持っていました。高校は附属大学のある女子校で、学ぶこと自体は好きなのですが、一方向の座学が好きではありませんでした。附属の大学には進学せず、兄弟もいたため、家計の負担を考え、高校卒業後に家を出て、新聞奨学生になることを決めました。働きながら専門学校で学び、自立、自活できることに魅力を感じ、仕事を始めました。そこで朝夕刊の配達、既存・新規開拓営業、集金、クレームなどの顧客対応をこなしながら、仕事の基礎を築きました。
「起業」へ意識が向いたのは、その後、大学へ入学した後、オーストラリアに短期留学した際に、現地の大学生と交流したのが一つのきっかけです。「私のお父さんは、『金持ち父さん』(アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学書)の教えを、身を持って実践している」という人に出会いました。その人は起業についても学んでいたため、刺激を受けました。
いずれは起業したいという気持ちがあり、大学卒業後は、IT企業に就職しました。仕事のやりがいや楽しさはありましたが、満たされない気持ちが多く、悩みました。私は常に「自分が好きで続けられて、一生懸けてやれる仕事は何だろう」「自分の能力が発揮できて、新しく、スピード感があり、幅広くやりがいをもって活躍できる場はどこだろう」と考えていました。週末に起業系のイベントに参加して自分の道を考え始めていたとき、突然、祖父が亡くなりました。身内が予期せず病気になり、亡くなる過程で自分の無力さを感じました。ヘルスケア・医療業界で、全ての人間が通る道(病気~死ぬまで)で、自分のIT業界で培ったエンジニア経験などでの知見を生かして何かできるのではと思いました。その後起業し、現在推進している「病気にならないように教育する、気付きを与える商品・サービスを提供」という現在のビジネスに至ります。
「健康×教育」への想い
弊社のビジネスは、ファミリーホームヘルスケア事業で、現在はIoTを活用したオーラルケア支援の商品・サービスを提供しています。口は病気の窓口といわれるように、虫歯や、特に歯周病は、全身の病気の要因となり得ます。現在は新型コロナウイルス感染症予防のため、オーラルケアがより重要視されていると考えています。
日本歯科医師会が推進する8020(ハチマルニイマル)運動があったように、日本はオーラルケアへの教育や意識が低い国です。経済協力開発機構の調査データによると、歯科の定期健診受診率は、先進国で最下位レベルです。そこには、自宅でのオーラルケアの重要性が考えられます。
弊社は、歯磨きを手始めに、オーラルケアをIoTで、家族で楽しく学べる自宅の歯磨き支援の商品・サービスを提供しています。「健康×教育」を掲げ、子どものころから教育により子どもの健康を守り、親の育児も楽にすることが大事だと考えております。私も子どもを持つ親としても、次の世代につながる事業を推進していきたいです。
会社データ
社名:株式会社Temari
所在地:東京都新宿区
創業:2016年
事業概要:健康を教育で守るための商品・サービスの開発・提供
【東京商工会議所】
※月刊石垣2021年7月号に掲載された記事です。
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