日本商工会議所の三村明夫会頭は9月15日、定例の記者会見に臨み、同日発表した「ワクチン接種の進展に伴う社会経済活動の回復に向けた緊急要望」に関して、「感染状況を見極めながら経済活動が活発化するような支援を求めたい」との考えを示した。また、「医療提供体制が確保され、ワクチンの接種率は全国民の50%を超えた。新規感染者が大きく減少するなど効果が出始めており、政策的な自由度が増えつつある」と指摘。感染防止対策と経済活動の両立に向けて必要な施策の実施を求めた。
困窮する事業者への支援拡充、感染状況を踏まえ、GoToイート事業の拡充・期間延長、GoToトラベル事業の再開などを盛り込んだ緊急要望について、三村会頭は、「感染状況の落ち着いた地域からの需要・消費喚起支援を要望している」と説明。要望の背景として、足元の医療提供体制、ワクチン接種率の高まり、新規感染者の大幅な減少の3点を指摘し、「このような状況を考えると、昨年に比べて政策的な自由度は高まっている」との考えを示した。その上で、「経済活動との両立のためには、この3点を総合的に勘案して、対応を検討するべき」と述べ、支援策の実施を強く求めた。
足元の中小企業の業況については、「特に、人流で成り立っている飲食、宿泊、交通、イベント、観光などの事業者は窮地に追い込まれている」と指摘。最大の支援は、「将来に対する明るい見通しを示すこと」と述べ、政府に対し、「感染状況を見極めながら少しでも経済活動が活発化するような支援を求めたい」と強調した。
緊急要望に盛り込んだカーボンプライシングについては、「中小企業の負担増につながり、成長を阻害するような炭素税などのカーボンプライシングは行うべきでない」と強調。「現時点で、CO2の排出を減らすための代替手段がなく、単に負担のみが増えてしまう業種や事業者もいる」と述べた。
また、「カーボンニュートラルは、事業者のみならず国民全体で、それぞれの事業活動や生活様式の見直しなどを通じて自主的に追求すべき目標だ」と指摘。「現在のエネルギー基本計画素案では、カーボンニュートラルの必要性のみ語られ、国民全体でどの程度コストを負担するのか、コストアップを最小化できるのかといった議論がない」と不満を表明した。
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