北海道に42の商工会議所があるうち、市ではなく町にある商工会議所は9カ所です。倶知安(くっちゃん)商工会議所もその一つで、人口が1万5000人余りの小さな町にあります。
倶知安町は、2019年9月に「G20観光大臣会合」が開催されて脚光を浴びましたが、もともとパウダースノー(良質な雪)で有名なニセコひらふスキー場のある町として知られていました。近年は、国際リゾート地として人気が高まり、アジア資本を中心とした大規模なリゾート開発が進んでいます。30年には北海道新幹線・倶知安駅の開業が決まっており、その一年前には、新千歳空港から札幌市・小樽市を経由して倶知安町を結ぶ高規格道路も開通する予定になっています。これによって、新千歳空港と倶知安町を中心としたニセコエリアが1時間半で結ばれます。
このような好条件が重なり、倶知安町に土地を求める企業や個人が相次ぎ、結果として、商業地、住宅地の地価上昇率が6年連続で日本一になりました。スキー場は、倶知安駅から車で十数分のところにあり、外国人の経営するコンドミニアム型ホテルが立ち並び、外国人スタッフが外国人観光客をおもてなしする光景は、海外のスキーリゾート地のようです。
私は、1950年に倶知安町で生まれました。高校を卒業後、地元の企業に就職し、93年に独立して、事務機器を販売する会社を立ち上げ今日に至っています。現在も息子と二人だけの小さな会社です。76年に倶知安青年会議所に入会し、理事長を経験させていただきました。青年会議所卒業後の独立を契機に商工会議所に入会し、議員、常議員、副会頭を経て、2014年から会頭職を務めさせていただいています。青年会議所、商工会議所活動を通して商売だけでなく地域に貢献することを学び、それが人生のルーティンになっています。
前述のとおり、倶知安町は新幹線と高規格道路とリゾート開発を中心とした「まちづくり」の最中にあります。そのため、倶知安商工会議所は、5年前から新幹線開業を見据えたまちづくりに取り組んでおり、本年度から行政とまちづくり協働・連携に関する協定を締結し、新幹線駅周辺再整備に向けた具体的な事業の検討に入っています。さらに、それらを実現するまちづくり会社の設立も進めています。小さな町であればあるほど商工会議所の役割は大きく、責任の大きさを感じています。
今後も地域経済の振興と地域全体の発展を目的とする商工会議所の役割を果たすため、国際リゾート地「ニセコ」の発展と連動させた地元経済の振興を図るための取り組みを続けていきます。コロナ終息後には、世界を魅了する国際リゾート地・倶知安町にぜひお越しください。
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