独立行政法人情報処理推進機構(IPA)はこのほど、「DX白書2021」を発刊した。白書は、日米両国の企業におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の動向を比較調査。戦略、人材、技術の面からDX推進の現状や課題などを包括的に解説した。
白書は、「日米のDXへの取り組み状況」「DX戦略の策定と推進」「デジタル時代の人材」「DXを支える手法と技術」の4部構成。両国企業を対象に実施したアンケート調査、ユーザー企業へのインタビュー調査などを基に日本企業の今後の課題などを考察している。
DXへの取り組み状況については、「全社戦略に基づいた取り組み」「経営者・IT部門・業務部門の協調」のいずれも、日本企業は米国企業に劣る状況。人材面では、事業戦略上の変革を担う人材の「量」について、日本企業では、「大幅に不足している」と「やや不足している」が合わせて76%だったのに対し、米国企業は43・1%と不足感に開きがある結果となっている(図1)。
社員のITリテラシー向上に関する研修や教育についても大きな差があり、白書では、「日本企業は、まず社員のITリテラシーの現状を把握することで、適切な研修プログラムや施策を実施することが重要」と指摘している。
日米におけるAI技術の活用にも大きな差がついている。また、「デザイン思考」「アジャイル開発(=小チームによる開発~運用を小さなサイクルで繰り返す開発方法)」「DevOps(デブオプス=開発者と運用者の連携)」の導入などDX推進に有効な開発手法の活用状況も、米国企業の利用は日本企業を大きく上回る結果となった(図2)。
白書では、先進企業の事例紹介や、有識者によるコラムなども掲載。また、要点を20ページにまとめた「エグゼクティブサマリー」を同時公開し、活用を呼び掛けている。
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