政府はこのほど、第1回デジタル臨時行政調査会(臨調)を開催し、デジタル改革、規制改革、行政改革に共通する指針となる「デジタル原則」の方向性やデジタル臨調における検討項目などを審議した。年末までにデジタル原則を策定し、改革項目を具体化していくことなどを決定。来春にも一括的な規制見直しプランを取りまとめ、法改正を進める。
会議に出席した岸田文雄首相は、「国・地方の制度やデジタル基盤など、経済社会の仕組みをデジタル時代に合ったものにつくり直していく必要がある」と述べ、デジタル田園都市国家構想実現に向け、国・地方・民間を通じたデジタル基盤の整備プランや、デジタル人材育成の強化策の具体化など、デジタル時代に合った規制・制度・行政の見直し、調達、政策の執行・評価などのあるべき姿とその方策を示すよう関係閣僚らに指示した。
また、速やかに改革に着手すべき事項として、「インフラなどの保安規制や定期検査の見直し」「学修者の習熟度に応じた教育の実現」「自動運転の実装化による配送や高齢者の送迎に向けた制度見直し」「新型コロナワクチン接種のデータ連携」「5Gネットワークの都市と地方での一体的な整備」などを例示。「規制する側、規制される側、国民から歓迎される三方良しの制度見直しを実現していく」と改革に意欲を示した。
年末までに策定する「デジタル原則」の方向性について、牧島かれんデジタル担当相は、「デジタル完結・自動化」「相互運用性確保」「デジタル共通基盤利用」「アジャイルガバナンス」「官民連携」の五つの原則を提示(図参照)。書面、対面、目視、定期点検などを義務付けているルールについて、デジタル完結・自動化による対応を基本とすることや、官民で適切にデータを活用できるよう、システム間の相互運用性を確保すること、デジタル基盤、IDやベース・レジストリなどは共通基盤を利用することなどを具体化していく考えを示した。
建築基準法や消防法など、目視や定期点検義務、安全基準など特定の技術・手法を用いることを義務付けた規制・制度について、高精度カメラや、ドローン、赤外線センサー、AIによる画像認識などの活用によるリスクに応じた規制・制度への見直しを検討。宅地建物取引業法や住民基本台帳などにおける対面・書面規制の再検証、行政書士法や建設業法などの常駐義務の見直しも行う。
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