テーマ別企業事例 小さなイノベーションで大きな成果 逆境でも業績を上げる! ショウワノート

新たな分野の開拓や新事業への進出は、大掛かりに考えてしまいがちだ。コロナ禍で苦境にある中小企業では大規模な事業投資は難しい。しかし、ピンチはチャンスでもある。そこで、転機を見逃さず、自社の技術やサービスを見直す“小さなイノベーション”で業績を伸ばしている企業の取り組みに迫った。

メインブランドの健闘とコラボ商品のヒットで増収増益

完成させると絵画のように美しいプレミアムキャラ塗り絵 © Fujiko-Pro,Shogakukan,TV-Asahi,Shin-ei,and ADK

「ジャポニカ学習帳」をはじめとする各種学用品や文具類などの製造販売を行うショウワノート。昨春、新型コロナウイルスの感染拡大で全国の学校が一斉休校となり、その影響が懸念された。しかし、自宅学習や巣ごもり需要の増加に加え、「鬼滅の刃」のコラボ商品が売り上げに大きく貢献。増収増益を果たした。

学校の一斉休校が売れ行きに影を落とす

「昨年3月に新型コロナウイルスの影響で、全国の学校に一斉休校措置が取られたときは驚きました。学用品や文具を扱っている者にとって、春先は大きく商品が動く時季ですが、例年に比べて出足は鈍かったですね」とショウワノート社長の中条宏志さんは振り返った。

1947年に設立された同社は、学習ノートを中心に、各種学用品や文具類を扱ってきたトップメーカーだ。発売50余年の歴史を持つ「ジャポニカ学習帳」は、学習帳市場で4割のシェアを誇るロングセラー商品として子どもたちに親しまれ、累計販売数は14億冊にも上る。しかし、昨春は学校の始業式が大幅に遅れたことで、売れ行きに影響を及ぼした。しかも、満足に営業もできず、毎年出展していた文具の展示会や見本市なども開催が見送られ、商品をPRする機会も激減した。

しかし、ほどなく売り上げは回復に向かった。その要因として、まずは自宅学習の時間が増えたことが挙げられる。

「コロナ禍により、子どもたちが家で勉強する時間が増えました。日本では書くことで覚えるという学習スタイルが定着しているので、ノートを使う機会も増えたのではないでしょうか。予想したほど売り上げも落ち込まず、底堅かったという印象です」

さらに追い風となったのが、コラボ商品だ。同社は昨年、文具大手のコクヨと資本業務提携を結んだ。それにより、同社がライセンスを受けた「鬼滅の刃」の人気キャラクターを、コクヨの主力の「キャンパスノート」にデザインを施したコラボ商品が実現した。発売するやたちまち反響を呼び、大きく売り上げを伸ばす結果となった。

長引く巣ごもり生活で既存商品が見直される

好調だったのは子ども向け商品だけではない。コロナ禍で生活スタイルが変化し、巣ごもり消費が拡大したことにより、幅広い世代の需要を喚起した。例えば、同社がさまざまな企業とコラボして製作したキャラクター文具が、若い世代を中心に良く売れた。また、同社が長年扱ってきた折り紙や塗り絵、パズルといった紙製品が改めて注目を集めた。

「折り紙は、子ども向けの一般的なものから、和紙や特殊紙を使った高級なものまで多様なタイプがそろっています。塗り絵も、単純なものから細密画のように複雑なものまであります。テレワークなどで在宅時間が長くなり、家での時間を充実させたいというニーズにうまくはまりました」

もちろん既存商品頼みなわけでなく、コロナに関連した対策グッズにもいち早く対応した。例えば、柔らかい素材を使用した抗菌マスクホルダーやマルチケース、首からかけるマスク用ストラップなどがそうだ。いずれも子どもがマスクなどを衛生的に使用・保管でき、紛失防止にも役立つように工夫されている。

また、新たに防災関連商品の販売にも乗り出した。近年、大型台風やゲリラ豪雨などによる災害が増え、大地震のリスクも高まっている。コロナも、予期しなかった災害といえる。そうしたことを踏まえ、同社が長年培ってきた経験と技術を生かして、避難所設営を念頭に置いたダンボール製自立式簡易パーテーションや段ボールベッドを販売。ダンボールなら折り畳んでコンパクトに収納でき、軽量なので子どもでも持ち運びができる。組み立ても簡単。まだ発売して間もないが、今後は営業に注力する予定だ。

今後は教育現場の変化に対応した商品開発を強化

こうした豊富な商品ラインナップにより、コロナ禍でも増収増益を果たした同社。次なる方向性として、デジタル・オンライン化の時代に対応した商品の開発に力を入れている。その背景には、19年に文部科学省が打ち出した「GIGAスクール構想」がある。これは全国の小中学校で1人1台端末を活用できる通信ネットワーク環境を整え、ICT教育の実現を目指す取り組みだが、コロナの影響でその動きが加速している。そんな教育環境の変化に合わせて、学用品の在り方も変わる必要があると中条さんは言う。

同社は実際に、授業でパソコンやタブレットを使うことを念頭に、狭い机の上でも使い勝手のいいハーフサイズのノートを商品化予定だ。これは通常のB5判のノートを上下に2等分した横長サイズのものとなる。また、今後は通学での持ち運びを想定して、パソコンケースやタブレットケースなども開発中だそうだ。

「コロナ禍は、当社に求められているものを改めて見つめ直す機会となりました。今後も時代にふさわしい商品は何かを考え、エンドユーザーにとって真に付加価値のあるものを追求していきたい」

学習帳のトップメーカーとして、メインブランドのさらなる進化を図りながら、より幅広いターゲットのニーズに対応していく構えだ。

会社データ

社名:ショウワノート株式会社

所在地:富山県高岡市佐野850

電話:0766-22-6201

HP:https://www.showa-note.co.jp/

代表者:中条宏志 代表取締役社長執行役員

従業員:170人

【高岡商工会議所】

※月刊石垣2021年12月号に掲載された記事です。

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