わが国経済の好循環を実現するためには、「下請等中小企業」の取引条件を改善することが重要です。本コーナーでは、全国に設置され、電話やメール、ウェブサイトにより無料で相談できる「下請かけこみ寺」(本部:公益財団法人全国中小企業振興機関協会)に寄せられた「親事業者の4つの義務と11の禁止行為」に関する問い合わせの中から、参考になる事例をQ&A形式で解説します。
Q.個人事業者Aのところへ、B社の営業担当が訪問してきました。担当者の説明では、B社の節電器を設置すれば電気の使用量が約60%節約できるということだったので、十分な説明も聞かず、契約書もよく確認せずに当該節電器に関するリース契約書に署名してしまいました。
効果に不安もあったので、その旨担当者に伝えたところ、効果が得られない場合には半額の支払いでよいとの条件を口頭で言われていたのですが、一定期間使用したものの、結局効果は得られませんでした。B社に対し、現場に来て点検・確認するなど何らかの対処をしてほしい旨を再三要請しましたが、担当者が退職したなどと言い逃れするばかりで、まったく誠意がありません。Aがリース契約を解約するには、どうしたらよいでしょうか。
A.事業者間の契約は消費者法の適用がありません。そのため、例えば、忙しくて十分な説明を聞かなかった、あるいは相手方の提示した契約書は後で確認することとしてとりあえず押印してしまったなどの理由による解約や取り消しが原則困難なため、トラブルになることがあります。契約を結ぶに当たっては、慎重な対応を心掛け、後になってリースなどの負担のみが残ったなどとならないように注意することが肝要です。
また、説明通りの節電の効果が得られない場合には、相手方が具体的にどのような責任を負うのかなどについて説明があった場合、口頭で済まさず書面で提示させることが必要でしょう。相談内容のケースでは、一度、弁護士に相談され、アドバイスを確認されてから、相手方と交渉するとよいでしょう。
ポイント
事業者間の取引にはクーリング・オフの適用はありません。
リース契約の申し込みに当たっては、説明内容と申込書をきちんとチェックし、解約に対して相手方が説明した約定になっているかどうかを確認されることが肝要です。また、個人事業者を狙う悪徳商法まがいの業者もいますので、うかつに契約しないように注意する必要があります。
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