プライベートゾーンの「自分の感覚」をありのままに受け入れられるものづくり
株式会社りぼん 代表取締役 大原 万里亜(おおはら・まりあ)
生理や排泄を快適にしたいという思いが原動力
私は2013年に起業しました。きっかけは16年間勤めていた特別支援学校の教師時代の経験です。障がいを持つ子どもたちが、生理や排泄(せつ)で不快な思いをしているのを見て、快適にしてあげたいと思ったからです。
石油系の素材でできたおむつや生理用品の間に布をはさむだけでも、赤くかぶれた皮膚は赤みが引き、代謝や巡りがよくなると感じました。使い捨ての既製品を使うことを当たり前とせず、その人に合うものを、工夫して改良すれば、悩みやストレスがかなり改善するということを学びました。
そこで、日本製のオーガニックコットンを使い、草木染めした「布なぷきん・布おむつ」を手づくりした専門店を始めました。草木染めは、長崎の特産品である枇杷(びわ)の葉、茜(あかね)の根、ざくろの皮、よもぎの葉などの天然の植物を、1週間かけて煮出して手染めします。植物の薬効のおかげで、血液などのタンパク質の汚れがはがれやすくなり、洗剤を使わなくても水で汚れが落ちます。肌にもやさしく、染みも残りにくいのです。
お店は、長崎に実店舗を置き、東急ハンズなどで全国販売しています。今後は生理用の布ナプキンだけでなく、尿漏れ用の布ナプキンを高齢者施設で販売することも考えています。
「フェムテック・フェムケア」時代の流れが追い風に
社名の「りぼん」には、〝Re・born〟(よみがえる・生まれ変わる)という意味を持たせています。自分が、気持ちいいのか、不快なのか、プライベートゾーンの感覚を敏感に感じ、よみがえらせたいと思い、名付けました。
今の赤ちゃんは生まれたときから紙おむつを使用します。さらっとした感覚では、排泄しても親子とも気にならず、そのまま時間がたちます。私はこれがプライベートゾーンへの感覚を鈍らせる要因の一つではないかと思っています。
これまで女性は、プライベートゾーンについて身近な人にも話をすることはなく、学校教育でも学ぶ機会は少なく、目隠しされてきたように感じます。しかし今「フェムテック・フェムケア」という言葉が広がり始め、女性が暮らしやすい生き方を選べる時代になってきました。目隠しされた感覚から「自分が感じていること」を口に出していいのです。「生理」をネガティブに感じている人は、生理用品を自分の快適なものに変えるだけで、ポジティブに捉えることができるかもしれません。
新しい試みとして昨年、子どもの頃から生理について遊びながら、学ぶことができるように生理カルタを制作しました。現在は性教育カルタをつくっている最中です。
生理の悩みだけではなくジェンダーフリーや、差別、心の悩みなど、多種多様な悩みを解決し、感覚を目隠しすることなく、ありのままの自分を受け入れて暮らせる―。そんな製品をつくり続けていきたいと思っています。
会社データ
社名:株式会社りぼん
所在地:長崎県長崎市万屋町1-23
電話:095-893-8776
創業:2013年
事業概要:「布なぷきん・布おむつ」の製造・販売
HP:https://nunonapukin.com/news/award/2021/1125.html
【長崎商工会議所】
※月刊石垣2022年3月号に掲載された記事です。
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