事業を通して女性をエンパワーすることが私たちの使命
株式会社BLAST 代表取締役社長 石井 リナ(いしい・りな)
「自分らしく生きられる社会」の実現を
私が起業したきっかけは、日本のジェンダーギャップ指数(各国の男女格差を数値化)の低さに衝撃を受けたからでした。起業する前は、SNSマーケティングの業務に従事しており、欧米の潮流を追っていました。その中で、フェミニズムやジェンダーギャップ指数を知りました。男女平等という側面でいうと、日本は後ろから数えたほうが早い。それまで先進国だと思い込んできたので、その事実に非常に驚きました。構造的差別の中にいることや、知らず知らずのうちに抑圧されている現状に気付かない私のような女性はほかにもいるはずだと思いました。まずは情報を伝えることが大事だと考え、メディア「BLAST」を立ち上げました。
弊社は、ジェンダーギャップ指数から端を発してできた会社で、「女性をエンパワーメントする」ことをミッションに掲げています。そのため、事業を通して女性たちをエンパワーする(自分に合った生き方に導く)ことが、私たちがやり続ける「使命」であると考えています。日本の女性をエンパワーメントすることは、情報だけではなくプロダクト(製品)でもできると考えていたので、物理的にサポートするフェムテックブランド「Nagi」をローンチ(公開)しました。
Nagiは、生理用吸水ショーツがメインで「自分の身体をコントロールすることは、自分の人生をコントロールすること」だとメッセージを発信しています。女性のライフスタイルに寄り添い、全ての女性が「自分らしい生き方ができる社会」を目指しています。
「Nagi」発表から1週間で2000枚を完売
「BLAST」や「Nagi」を運営するに当たり苦労したのは資金の調達です。出資の決定権を持っている経営層は男性が多いため、生理についての課題を男性が理解しにくく、出資に至らないことも。それでも根気強くベンチャーキャピタルや事業会社に、事業内容や展望を説明し続け、理解者や出資者を集めてきました。
資金が集まり、「Nagi」を発表すると女性たちから大きな反響があり、なんと1週間で2000枚を完売。改めて女性にとって、生理用吸水ショーツは課題のあることだったと、影響の大きさを実感しました。「ショーツが快適で紙ナプキンに戻れない」「トイレに行きにくい販売職の救世主」などの声が届き、幅広いライフスタイルの女性をサポートできていると知り、とてもうれしく、やりがいを感じます。生理について男女問わずオープンに会話できるきっかけにもなっているようで、タブーと言われる生理に対して一石を投じられていることも進歩だと思いました。
今、私は経営者として、事業の成長スピードが速いこと、若い女性だけでビジネスができることを誇らしく感じています。ほかの起業家にも負けないように事業を大きくしていきたいです。
会社データ
社名:株式会社BLAST
所在地:東京都渋谷区代々木5丁目7-5 PORTALPOINT Yoyogi-Koen 601
電話:03-6407-9958
創業:2018年
事業概要:フェムテックブランド「Nagi」の企画・運営・卸オンラインストアでの販売
HP:https://www.blastinc.online/
【東京商工会議所】
※月刊石垣2022年2月号に掲載された記事です。
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