日本商工会議所は3月17日、日本商工会議所創立100周年記念第134回通常会員総会をオンライン形式で開催し、全国512商工会議所から会頭・副会頭ら約1000人が出席した。総会の冒頭にあいさつした三村会頭は、「わが国を再び強く豊かな国にするためには、社会課題の解決と同時に、経済成長につなげていく『二正面作戦』に取り組むことが必要」と主張。商工会議所の果たすべき役割として「中小企業の挑戦支援」「事業再構築、取引適正化などを通じた付加価値の向上」「地域ぐるみの地方創生の推進」の3点を示し、総力を挙げて取り組む考えを表明した。
三村会頭は、コロナ禍が長期化する中で、経済の現状について、「資源価格の高騰や円安基調に加え、ロシアのウクライナ侵攻が世界経済の混乱をもたらしている」と述べ、企業収益の圧迫、消費や投資マインドの悪化などについて懸念を表明。コロナ禍克服に向けては、感染防止と経済活動を高次元で両立させ、社会経済活動を止めずに回していく「出口戦略」を早期に提示することを要望した。
また、「国際競争力を確保したグリーン化」「経済・医療安全保障」「東京一極集中の是正」などを例示し「わが国を再び強く豊かな国にするためには、コロナ禍で明確になった社会課題の解決を図りつつ、同時に、それを経済成長につなげていく、『二正面作戦』に官民連携して取り組むことが必要」との考えを示した。
国の役割については、「1人当たりGDPの引き上げを国家目標に掲げ、潜在成長率の底上げを図る新たな成長戦略の早期策定」と「国際競争力強化に資するビジネス環境整備」の2点を強調。具体的には、少子化対策や税と社会保障の一体改革などの構造改革の断行、自由貿易体制の推進、企業側の予見可能性を確保した経済安全保障対策、安定的・経済効率的なエネルギー政策に基づく国際競争力を確保したカーボンニュートラルなどを求めた。
商工会議所の取り組みについては「中小企業の自己変革に向けた挑戦支援」「事業再構築、取引適正化などを通じた付加価値の向上」「地域ぐるみの地方創生の推進」の三点を強調。サプライチェーン全体で付加価値やコストをフェアに分かち合う「パートナーシップ構築宣言」については、宣言内容の実効性確保と、さらなる宣言企業数の拡大に向けて、各地商工会議所に協力を呼び掛けた。
また、2022年は、日商設立100周年となることから「地域とともに、未来を創る」をスローガンに、「強く豊かな日本を創るためには何をなすべきかをテーマに活動を展開していく」との考えを表明。現場の声やニーズを基にしたタイムリーな政策要望、中小企業・小規模事業者への経営支援や地域活性化に総力を挙げて取り組む決意を示した。
総会では、来賓として岸田文雄首相がビデオであいさつ。ロシアによるウクライナ侵略について、「国際社会と結束して、毅然と行動する」と述べるとともに、「わが国の産業界や国民生活への悪影響をできる限り最小化するよう、しっかりと対応していく」との考えを示した。また、新型コロナ対応について、各地商工会議所の協力に謝意を示すとともに、影響を受けている事業者への支援に尽力する考えを示した。
さらに、萩生田光一経済産業大臣もビデオであいさつ。総会議事では、「2022年度事業計画(案)」「同収支予算(案)」が異議なく承認された。
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