福岡県大牟田市
航海に正確な地図と羅針盤が必要なように、地域づくりには客観的なデータが欠かせない。今回は、福岡県の最南端に位置し、隣接する熊本県荒尾市と共に「三池炭鉱の街」として栄えた「大牟田市」について、まちの羅針盤(地域づくりの方向性)を検討したい。
世界文化遺産のまち
江戸時代から石炭が採掘され、明治期以降の近代化を支えた「三井三池炭鉱」と石油化学工業の発展によって、大牟田市は栄えてきた。燃料の主役が石油に転換したエネルギー革命もあり、1997年に炭鉱は閉山したが、数多くの炭鉱関連遺産が注目を集め、2015年には、「明治日本の産業革命遺産」の構成資産「三池炭鉱関連施設」として、三池炭鉱宮原坑、三池炭鉱鉄道敷跡、三池港が、世界文化遺産に登録された。他にも多くの近代化産業遺産があり、日本の産業発展の歩みが感じられる。また、今でも「化学」が地域最大の移輸出産業で、昼夜間人口比率は104・5%と、就業などのため人が集まる拠点性を持った地域でもある。
最新号を紙面で読める!