日本商工会議所の三村明夫会頭は4月28日、ハイブリッド形式で開催した日本YEG全国会長会議に出席し、全国のYEGメンバーなど約690人を前に「日本を再び元気な国に」と題して講演した。三村会頭は、「多くの日本人の危機感の共有が、変革へのエネルギーを生み出す」と指摘。「この20年間で経済面では一流国の地位を失う寸前にまで凋落した日本についての客観的な認識と正常な危機感を持つ必要がある」との考えを表明した。
政府と民間の連携すべき分野については、「コロナ禍で明らかになった経済社会課題を取り上げるべき」と強調。「これらの課題の解決を通じて経済成長を実現する二正面作戦があるべき成長戦略だ」と述べた。
具体的には、DX、国際競争力を確保したグリーン化、経済・医療安全保障、東京一極集中の是正、科学技術立国などの取り組みなどの必要性を指摘。特に、社会保障と税制の一体改革については、「将来への不安を解消し、あわせて日本が成長することに期待を持てれば、消費性向が上昇し、国内マーケット拡大により資本を呼び込むことになる」と述べ、成長戦略としての社会保障改革の重要性を強調した。
「国」「企業」「家計」の3者がもたらした低成長、その結果としての生産性・賃金・物価停滞の悪循環からの脱却に向けては、「きっかけは、国がつくるべきだが、実行者は企業だ。今こそ企業は国を立て直す主役であることをしっかりと自覚し行動しなければならない。自らの生き残りを懸けて、経営者自身が動くしかない」と述べ、企業経営者のマインドを安定から成長へと転換するよう出席者に呼び掛けた。
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