日本商工会議所の三村明夫会頭は5月27日の定例記者会見で、厳しい電力需給の問題について、「2022年度冬季の電力需給は、寒さが厳しい場合、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州の7エリアで安定供給に最低限必要な予備率3%を下回るなど、既に厳しい見通しが出ている」と指摘。「もし実際に停電が起きたら大変な事態となる」と述べ、「節電対策など需要面の対策と同時に既存の火力発電所の活用を含めた発電能力の拡大など、網羅的な対策が必要」と強調した。
5月中旬に会談した小池都知事に原子力発電の位置付けの明確化と、安全性を確保した上での早期再稼働を政府と関係自治体に訴えるよう要請した点に触れ、「電力の供給不足に対応するためには、発電能力の拡大が絶対に必要になる」と指摘。また、「電力のひっ迫状況を周知する取り組みも重要」との考えも示した。
最低賃金引き上げに向けた政府の支援策の必要性については、「政府が手厚く支援すれば、かえって中小企業の自主性を損なわせる恐れがある」と指摘。「それぞれの企業の自主的な経営努力によって、最低賃金の引き上げに対応できるように体質を強化することが大切だ」と述べた。また、今年度の最低賃金の審議については、「最低賃金法に定められているように、労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払い能力の三要素に基づき、十分な審議を経て、納得感のある水準において決定すべき」との考えを改めて示した。
米国主導のインド太平洋経済枠組み(IPEF)については、「まずはプラットフォームをつくることが重要であり、具体的なルールづくりは今後の話だ」と指摘。「多くの国が手を挙げられるようハードルが低く設定されている」点を評価するとともに、「インド太平洋地域の経済に特化した枠組みができたことは、大変意義がある」と述べた。
最新号を紙面で読める!