総務省はこのほど、2022年「情報通信に関する現状報告」(2022年版情報通信白書)を公表した。今回の白書の特集テーマは「情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~」。1973年の情報通信白書刊行後50年間のICTサービス・技術の進化やICTを取り巻く国際情勢の変化を振り返るとともに、ICT分野で日本が直面する現状と課題、今後の日本社会でICTが果たす役割を分析している。
白書では、企業活動におけるデジタル活用の動向について、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に関する取り組みを進めている企業の割合(「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取り組んでいる」「部署ごとに個別でDXに取り組んでいる」の合計値)は、日本企業は約56%であるのに対し、米国企業は約79%と、日本企業の方が低い結果を示した(図1)。
また、DXを推進する上での課題・障壁として、日本企業は「人材不足(67・6%)」との回答が米国・中国・ドイツの3カ国に比べて非常に多く、次いで「デジタル技術の知識・リテラシー不足(44・8%)」と、人材に関する課題・障壁が多いことを指摘。各国の企業が保有するデジタル人材(「CIO(最高情報責任者)やCDO(最高デジタル責任者)などのデジタル化の主導者」「AI・データ解析の専門家」)の不足状況については、日本企業は両デジタル人材に共通して不足しており、特に「AI・データ解析の専門家」は、米国やドイツと比べると不足状況が深刻であると分析している。
テレワークの利用状況については、テレワークを利用したことがあると回答した割合は、米国・ドイツでは60%弱、中国では70%を超える一方、日本では30%程度にとどまる(図2)。テレワークの実施が困難な理由として、諸外国ではインターネット回線などの環境面や費用面が多く挙げられているのに対し、日本では社内での「ルールや制度が整っていない」ことが35・7%と最も多く挙げられている結果となっている。
また、行政分野のデジタル活用の動向に関して、電子行政サービス(電子申請、電子申告、電子届け出)の利用状況を見ると、諸外国では60%以上の人が利用しているが、日本では23・8%の人にとどまっており、利用の意向も諸外国と比べて低い結果となった。利用が困難な理由として、諸外国ではインターネット回線の速度や安定性が不十分であることなどが挙げられていた一方、日本では「セキュリティへの不安」との回答が最も多かった。
詳細は、https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/r04.htmlを参照。
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