厚生労働省はこのほど、「令和4年版労働経済の分析(労働経済白書)」を公表した。白書の第Ⅰ部「労働経済の推移と特徴」では2021年の労働経済を巡る動向を分析。第Ⅱ部「労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題」では、今後の労働力需給を踏まえ、労働市場が抱える課題を示しつつ、「労働移動の動向」「主体的な転職やキャリアチェンジの促進において重要な要因」「主体的なキャリア形成に向けた課題」などについて分析している。
21年の労働市場については、再び新型コロナウイルス感染拡大前から続く人手不足の状況となり、「転職者数は、引き続き大幅に減少」と指摘(図1)。長期失業者の増加、高齢者層の非労働力人口の増加といった動きが見られ、「労働市場の動きが停滞している傾向が見られる」と分析している。
労働移動の動向については、転職入職率は、女性やパートタイム労働者では高まっているものの、男性や一般労働者を含めた労働者全体では大きく高まってはいないこと(図2)、加えて、わが国の労働者の勤続年数は、英米や北欧と比較して長い者が多いことを示した。
また、生産年齢人口や新規学卒者の減少による労働力供給の制約が見込まれる中、介護・福祉分野やIT分野など労働力需要の高まりが見込まれる分野があり、「外部労働市場を通じた労働移動による労働力需給の調整が今後重要となる」と指摘。「主体的な転職やキャリアチェンジの促進において重要な要因」については、「正社員や中堅の役職者では転職活動への移行や転職の実現がしにくい傾向がある」とする一方、転職希望者について、自己啓発を行っている場合や、キャリアの見通しができている場合は転職活動への移行がしやすい傾向にあることなどを示した。
詳細は、https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/21/21-1.html参照。
最新号を紙面で読める!