パチンコ業を営む、私の支援先があるのですが、国の規制強化により、2005年には30兆円以上あった市場規模は徐々に縮小し、10年後には10兆円を切ることが想定されています。
トップの最も大切な仕事は会社をつぶさず発展させること。このオーナーは10年先も今と同じ利益を上げるために高収益企業を育てようと挑戦しています。
先の見えない混沌(こんとん)とした時代の中、今の事業内容を守るだけでは「将来はない」というのは、いずれの企業も同じだと思います。自社を業態変化させながら、高収益企業として育てるためには次の七つが重要だと、そのオーナーは語ります。
①10年先どんな事業でもうけるか考え抜く。
②先行投資を怠らない。
③勝つことより負けないことを重視する。
④大企業の参入しない分野で、価格決定権を持つ。
⑤良いものが売れるわけではなく、売れるものが良いものだと考える。
⑥常に高付加価値を目指す。
⑦賭けでなく、3年後には黒字化する。
私のことを振り返ると、宝石店の地域2番、3番店を指導したとき、低単価高頻度購入品を狙いました。当時、ピアスは安くても3000円くらいしましたが、構造などを変えて980円の商品を開発。陳列ケースに最大300個、誰もが手を触れられる状態にして合計3000個を展示しました。量的迫力と低価格で日に3個しか売れなかったピアスが、100個、200個と売れたのです。するとそれまで店の1番の強みだった婚約指輪まで売れました。日頃ピアスを買うなじみの店で購入するお客さまが増え、年商が10倍にもなったのです。
また仏壇店では、集合住宅向けの低単価仏壇の販売を強化。それまで近所のホームセンター商品であった、お線香やローソクなど高頻度購入品の品ぞろえを強化する戦略に転化し、売り上げを上げていきました。
1992年まで船井総研の指導先は物流業がほとんどでしたが、バブル崩壊の影響が起き始めたとき、私がかじを切ったのは、代行業・サービス業への進出です。例えば引っ越し。昔は全部自分でやっていましたが、今は専門業者に頼むのが一般的です。外食産業も他人に料理をつくってもらう、代行業ともいえます。
船井総研の売り上げが45億円の頃には85%が流通業指導によるものでしたが、売り上げが150億円になったときには、全体の13%、約20億円が流通業、残りの130億円はほかの業種です。この推移を見ても、企業は時代に合わせて変化を遂げるものであることが分かります。
皆さんも、10年先を見越した事業に挑戦してください。
お問い合わせ先
社名 : 株式会社 風土
TEL : 03-5423-2323
担当 : 髙橋
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