日本商工会議所の小林健会頭は2月14日、定例の記者会見で、今後の金融政策について「実体経済の反応を見て、丁寧に 対話しながら進めてほしい」と述べた。経済安全保障問題については、ルールの策定段階で、産業界とのコンセンサスが必要との考えを表明。中小企業の賃上げに関連しては、「パートナーシップ構築宣言運動を継続することで、賃上げの原資を確保し、賃金を上げ、個人消費を喚起し、経済成長につなげていきたい」と述べた。
日商の小林会頭は、今後の金融政策について、「大規模金融緩和は永久に続くものではなく、どこかで見直しを検討しなければなない」と指摘。2%の物価目標については、「2%の旗を、今降ろす必要はない。足元の物価上昇率との関係はもちろん重要だが、物価目標は、日本が成長戦略を実現する中で達成していくということに意義があると思う」と述べた。
日銀の新総裁・副総裁の人事案が示されたことについては、「日銀のかじ取りを託される予定の3氏には大いに期待している」と強調。今後の市場との関係については「金融政策は経済のあらゆる方面に影響を及ぼすため、実体経済の反応を見て、丁寧に対話しながら進めてほしい」と注文をつけた。
中小企業の賃上げの現状については、22年度の所定内賃金を引き上げた企業が全体の52.6%だったことに触れ、「厳しい状況下でも賃上げをしようとしている中小企業の姿勢が見える」と指摘。「パートナーシップ構築宣言運動を継続することで、賃上げの原資を確保し、賃金を上げ、個人消費を喚起し、経済成長につなげていきたい」との考えを示した。
パートナーシップ構築宣言の実効性向上に向けては、「大企業のトップに働きかけることはもちろんだが、中小企業も、勇気を持って元請けや消費者に声を上げてほしい。それが、最終的には消費者の利益になることを繰り返し伝えていきたい」との考えを表明。商工会議所として実効性向上に全力で取り組む考えを示した。
安全保障に関わる機密情報を扱える人を認定する「セキュリティー・クリアランス」については、「まず、安全保障上重要な物品を決め、その製造過程や製造後の状況をチェックする体制を構築するとともに、次のステップとして、プライバシ ーの問題も踏まえつつ、それを扱う人の資格要件を定めていくということではないか」との見方を示した。
規制の在り方については「網の掛け方によっては、先端技術で独自性を発揮している中小企業の事業活動を阻害する可能性もある」と自由な経済活動との両立の重要性を強調。「高い技術力を誇る中小企業の生死に関わる問題だからこそ、政府と事業者がお互い納得できるルールが必要。ルールの策定段階で、政府と業界団体との話し合いの場を設けるなど、産業界とのコンセンサスを取るようにしてほしい」と要望した。
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