日本商工会議所の小林健会頭は15日、定例の記者会見で、日韓関係について「経済界としては、日韓関係は緊密であることが望ましい」との考えを表明した。中小企業の賃上げについては、「大切なことは、来年以降も持続的に賃上げできる構造を考えることだ」と強調。政府に対し、中小企業が適切に価格転嫁できるような環境整備を求めた。
小林会頭は今年の春季労使交渉について、「過去数十年ぶりに物価上昇への対応が求められるという状況下で行われた。各社も同業他社の動向を見極めながら賃上げに踏み切ったと思う」と指摘。価格転嫁交渉については、「これからは単に安く売るのではなく、適正な価格で売ることで利潤を人件費に回し、賃上げ原資を確保すべき。毎年、価格転嫁交渉を行っていかなければならない」と強調した。
中小企業の賃上げの状況については、「業種・規模などによって賃上げの状況は千差万別だ。金額で見れば大企業には及ばないが、それぞれの企業が『持続的な賃上げ』の実現を意識して、悩みながら出した結果だとみている」と評価。また、「大切なことは来年以降も持続的に賃上げできる構造を考えることだ。政府に対し、中小企業が適切に価格転嫁できるような環境整備を求めていきたい」との考えを示した。
日韓関係については、「経済界としては、日韓関係は緊密であることが望ましい。日韓関係は経済のみならず、外交・安全保障面でも重要だ」との考えを表明。元徴用工問題の解決策については、「さまざまな意見があることは承知しているが、韓国政府が総合的に検討し、最終的に結論を出したことについては評価できる」と述べた。
両国経済界の交流に関しては「日商としても、大韓商工会議所との首脳会議再開については既に合意しており、さらなる民間交流の拡大を通じて、両国経済関係の深化と発展に貢献していきたい」との考えを表明。「両国間の交流を通じて日韓関係が雪解けを迎え、両国の国民同士が理解し合える状況になることが望ましい」と述べ、今後の関係改善に期待を示した。
最低賃金については、「ここ数年、『全国平均1000円を目指す』という政府の意向が強く反映される形で議論が進んできた が、納得できない」と強調。「最低賃金はセーフティネットとして法律で定められるものであるからこそ、最低賃金法第9条に定める3要素(生計費、賃金、支払能力)に基づいた納得ある議論の下で決められるべきだ」と述べるとともに、「日商は最低賃金の引き上げそのものに反対しているわけではなく、納得できる議論の結果として、1000円という水準になるのであれば異論はない」との考えを改めて示した。
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