今、米国の教育現場でチャットGPTについて議論がなされている。このソフトは大学の課題に簡単にレポートを作成することもできる。しかも、そのレポートは学生の単位取得に遜色のない出来栄えのものもあるようだ。そのため、米国の一部 の大学ではチャットGPTの利用を禁止するなど対応が迫られている。
▼このチャットGPTは昨年11月にイーロン・マスク氏らが設立したオープンAI社によって開発されたもので、画像生成AIと同じく生成AIの一形態である。このソフトは名前の通り、対話形式でユーザーが出した質問に対して、文章の形式で応えてくれる自動会話プログラム(チャットボット)である。昨年、研究用のプレビューとして発表されたにもかかわらず、サービス開始から2カ月で1億人のユーザーをつかみ、爆発的に広まった。
▼このチャットGPTは、政府や民間の公表資料、オンライン百科事典であるウィキペディアやクオーラ、それにSNSの情報などの膨大なデータをAIに学習させてつくられている。しかし、それらのデータの一部にフェイクや、不完全もしくは偏りがあったために問題も起こしている。
▼さて、中国はこのチャットGPTは西側の情報・思想がベースになっており、共産党の理念・方針とは相いれないとして使用禁止にした。そのためテンセントはWe Chatを、バイドゥは文心一言(アーニー・ボット)を開発している。
▼このチャットGPTを利用すると、検索する手間が省けてすぐに回答が得られることから検索業界の地図を塗り変える可能性がある。一方、学習させたデータの中に著作権法に抵触する知的財産権侵害の問題なども提起されており今後の動向が注視される。
(政治経済社会研究所代表・中山文麿)
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