政府は6月6日、第19回新しい資本主義実現会議(議長・岸田文雄首相)を開催し、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」を取りまとめた。日本商工会議所の小林健会頭は、改訂版について、「重要なことは、スピード感とアウトプットを意識した計画の実現であるが、現実社会の実態への目配りも必要である」と指摘。岸田首相は、6月中旬をめどに実行計画の閣議決定を目指す方針を示した。
日商の小林会頭は、改訂版について、「全体として進むべき方向性がより明らかになった」と評価した上で、「重要なことは、スピード感とアウトプットを意識した計画の実現であるが、現実社会の実態への目配りも必要である」と指摘した。
賃上げについては、5月の日商調査で、中小企業の6割以上が実施、うち賃上げ率を3%以上とする企業が半数超となったことについて言及。「構造的な賃上げを実現するためには、パートナーシップ構築宣言などの取り組みを緩めることなく継続し、取引適正化による価格転嫁を商習慣として定着させることが不可欠である」と強調した。
リ・スキリングについては、企業内部での能力開発支援への十分な支援などを要請。併せて、「少子化対策として最も重要なことは経済成長と所得の向上である」と述べ、政府に官民を挙げた新事業や技術開発への投資促進による良質な雇用創出、地域の中小企業におけるGX、DX推進などイノベーションにチャレンジしやすくなる環境づくりなどを求めた。
岸田首相は、「30年ぶりとなる高い水準の賃上げ、企業部門に醸成されてきた高い投資意欲など、これまでの悪循環を断ち切る挑戦が確実に動き始めている」と強調。「人への投資・構造的賃上げ・労働市場改革」「投資促進」「スタートアップ育成と企業の参入退出の円滑化」「新しい資本主義の重要な要素である社会的課題の解決」を柱とした実行計画の改訂版を基に、「こうした動きをさらに持続的・構造的なものにしていく」と意欲を示すとともに、6月中旬の閣議決定を目指す方針を示した。
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