日本商工会議所は9月20日、第128回通常会員総会・会員大会を都内で開催し、全国393商工会議所から会頭・副会頭ら約1400人が出席した。会合では、2018年が明治150年、商工会議所創立140周年という節目の年であることを機会に、改めて地域と中小企業の力強い成長を実現していくため、商工会議所の方向性を示した「大会決議」を取りまとめた。同決議では、「日本経済を成長に導く主役は、われわれ民間企業である」と指摘するとともに、渋沢栄一翁が商工会議所創立に際して掲げた『強い民間経済の実現』と『公益と私益の調和』の精神について、今でも変わっていないことを強調。商工会議所として、日本再生に向けた地域と中小企業の挑戦を後押ししていくことを呼び掛けている。(関連記事2、3、4、5面に)
総会の冒頭にあいさつした日商の三村明夫会頭は日本経済について、「足元の良さと、先行きに対する不安が同居している」と指摘。主な不安として、人手不足の深刻化と、少子高齢化が進む日本の将来に対する不安の2点を挙げた。
人手不足については、社会全体での生産性向上に力点を置いたサプライサイド政策を加速していくことが必要との考えを示した。将来不安については、「政策の軸足を『足下の安心』から『将来の安心』確保へ移し、たとえ痛みが伴う改革であっても取り組んでいかなければならない」と述べ、社会保障制度改革や、来年10月の消費税率引き上げを確実に行うことを求めた。
また、「人手不足、供給能力不足の時代となったわが国では、大企業と中小企業が課題をともに解決していく、共存関係へと変わっていくことが必要」と指摘。大企業と中小企業はサプライチェーンの一員として、コストアップについては共に負担し取引価格に適正に反映させることや、大企業による中小企業のIT化支援に対して期待を寄せた。
総会では、安倍晋三首相からのメッセージを西村康稔内閣官房副長官が披露した。安倍首相はメッセージの中で、中小企業・小規模事業者の現場における生産性の向上を政府としても後押ししていく考えを示した。また、世耕弘成経済産業大臣、自由民主党の高村正彦副総裁、立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、公明党の山口那津男代表、日本維新の会の片山虎之助共同代表が来賓として出席、あいさつした。総会議事では、「2017年度事業報告(案)」と「同収支決算(案)」が異議なく承認された。
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