日本商工会議所の小林健会頭は3日、定例の記者会見で、今年度の審議会での議論が始まった最低賃金について、「法律に定められた3要素に基づき、データを持ち寄り、納得感がある議論をしてほしい」との考えを改めて示した。円安の進行については、「異常な円安である」と述べるとともに、円安メリットを受ける企業の多くが大企業に集中していると指摘。「大企業は円安で儲かっていると言わず、サプライチェーン企業間での取引価格の交渉では、こうした円安メリットを踏まえた議論がされていないのが実情だ」と懸念を表明した。
小林会頭は、最低賃金を巡る議論について、近年の中央最低賃金審議会における議論と政府方針、使用者側の主張を説明。「法律に定められた3要素に基づき、データを持ち寄り、納得感がある議論をしてほしい」との考えを改めて示した。支払い能力については、「企業側が引き上げについて行けるかということが一番の論点になる」との考えを表明。最低賃金の政府目標の在り方、定め方については、「目標を定めるに当たっても、法律で定められた3要素が最も重要。その実現には事業者が支払えることが条件だ。それで微調整をしていくということだと思う」と述べた。
円安の進行については、「経済肌感覚からいっても、異常な円安である」と考えを述べた上で、「この円安で潤っている企業と不利益を被っている企業を比較すると、潤っているところの方が多く、しかも大企業に集中している」と指摘。「サプライチェーン企業間での取引価格の交渉では、こうした円安メリットを踏まえた議論がされていないのが実情だ」と強調した。
6月の日銀短観で大企業・製造業DIが1年9カ月ぶりに改善したことについては、「原材料費の高騰が一段落したという部分があるのではないか」と指摘。「われわれがすべきことは、このモメンタム(機運)を継続し、パイ(市場総量)を増やし、経済をより加速し、拡大していくということだ」と考えを示した。
今後の経済見通しに関連し、中国の改正反スパイ防止法施行の影響について、「今の中国には予見性を持てず、漠然たる不安がある」と指摘。中小企業が中国へ進出することについては、『気をつけて』と言うしかない」と述べ、警戒感を示した。
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