文化観光推進法(文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律)が施行(2020年5月)されてから既に3年が経過した。この法律では、文化・観光の振興、地域活性化のために国民の文化理解を深めるとともに、国内外からの観光旅客の来訪促進を狙いとしている▼
このため、博物館などの文化観光拠点施設を中核とした文化観光推進のため、国による基本方針の策定、地域の拠点計画および地域計画の認定と、これらの計画に基づく事業に対する特別措置などを講ずることとされている▼
年間700万人以上の入館者がいるルーブル美術館(パリ)やメトロポリタン美術館(ニューヨーク)、大英博物館(ロンドン)などの例を見るまでもなく、海外では博物館や美術館が観光の大きな目玉・拠点になっている。これに比べると日本の博物館・美術館は残念ながら大きく見劣りする。その理由は多々あるが、やはり社会教育施設としての長年の性格が、観光客受け入れに大きな制約になっていることは否めない▼
本年1月現在、文化観光推進法の拠点計画および地域計画の認定を受けているのは全国で45件であり、近く本年度の新たな認定計画が発表される。認定計画の中には、いわゆる博物館や美術館だけでなく阿蘇ジオパークや軍艦島デジタルミュージアムなど箱のないミュージアムもある▼
「文化観光」はポストコロナの新たな観光の目玉として期待されている。その成果を高めるためには、何よりもワクワクするような博物館などの仕掛けが必要である。また、これらを支え、観光と文化を橋渡しするコーディネーターなどの新たな人材確保・育成が重要であろう
(観光未来プランナー・日本観光振興協会総合研究所顧問・丁野朗)
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