中小企業庁は6月22日、成長に向けて挑戦する中小企業を応援する五つの報告書とガイドラインを同時に公表した。報告書は「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会中間報告書」および「中小企業のイノベーションの在り方に関する有識者検討会中間取りまとめ報告書」、ガイドラインは「経営力再構築伴走支援ガイドライン」「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」「中小エクイティ・ファイナンス活用に向けたガバナンス・ガイダンス」の三つ。日本のさらなる成長の鍵となる中小企業の成長を実現するため、伴走支援の強化などの施策を提示している。五つの報告書とガイドラインの内容は次の通り。
■経営力再構築伴走支援ガイドライン
全国の中小企業支援者に向けた「経営力再構築伴走支援ガイドライン」では、経営課題に対する経営者の気付きを促し、事業者の自己変革や自走化につなげる「経営力再構築伴走支援」について、具体的な支援の進め方や留意点を紹介。実際の支援事例や効果的なノウハウなども共に示している。
■中小企業の成長経営の実現に向けた研究会中間報告書
「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会中間報告書」では、外需獲得、地域経済けん引や賃上げに大きな役割を果たす「100億企業(売上高100億円以上など中堅企業クラスに成長する中小企業)」に注目し、実際の成長企業の事例などから中小企業の飛躍的成長のパターンを整理。「経営者が差別化された価値を創出するための伴走支援の強化」「成長意欲を共有する経営者同士のネットワーキングの促進」「事業承継・引継ぎ、M&Aやグループ化を通じた新たな人材の中小企業への参入や経営革新の促進」など飛躍的成長を実現するための政策の方向性も紹介している。
■中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン
「中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン」では、経営課題と連動した戦略的な人材活用について、「①チェックリストで人材課題を確認」「②人材課題を解決するための戦略の方向性を3類型(中核人材の採用、中核人材の育成、業務人材の採用・育成)に分けて整理」「③3類型に沿って人材課題解決のための具体的な取り組みを検討・実行」の3ステップの手順を提示。具体的な対応策や支援策も紹介している。
■中小企業のイノベーションの在り方に関する有識者検討会中間取りまとめ報告書
「中小企業のイノベーションの在り方に関する有識者検討会中間取りまとめ報告書」では、成長を目指す中小企業が取り組む破壊的イノベーションに向けた課題や必要な取り組みを整理。マーケティング機能に対する支援強化を訴えている。
■中小エクイティ・ファイナンス活用に向けたガバナンス・ガイダンス
「中小エクイティ・ファイナンス活用に向けたガバナンス・ガイダンス」では、エクイティ・ファイナンス活用の利点や留意点を紹介するとともに、中小企業がエクイティ・ファイナンスを活用して成長するために有効と考えられる経営の在り方や仕組みを「戦略的な経営」「持続的成長を支える仕組み」「信頼関係構築」の3項目に整理した上で「ガバナンス」として取りまとめ。具体的な取り組み事例と共に紹介している。
詳細は、https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230622001/20230622001.htmlを参照。
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