極めて画期的な太陽電池が世の中に登場してきた。2009年、桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授の研究室がペロブスカイト太陽電池の有効性を世に問うた▼
この電池の特徴は一言で言って、次世代型太陽電池ともいえるもので、曇り空や室内であっても発電が可能である。太陽電池の形はフィルム状で、折り曲げたりすることもでき、しかも超軽量である。シリコン型の太陽電池の厚さは0・1㍉㍍に対して、この新型電池は0・1㍈と圧倒的に薄い。シリコン型は可視光から赤外線寄りで働くのに比し、この太陽電池は可視光から紫外線寄りの光に対応する。そして、光から電気への変換も25%と高い変換効率を実現している▼
現在、開発企業はシリコン型とペロブスカイト太陽電池を組み合わせたタンデム型の太陽電池を25年にも商品化することを目指している。ヨウ素と鉛の溶剤を熱処理し薄膜をつくるのであるが、インクジェットプリンターを使用した印刷技術で製造が可能であり、シリコン型の製造費の半額程度で生産が可能である。このようにしてつくられた製品は屋根の上に設置できることはもちろんのこと、窓ガラスや壁面に貼って使うことも可能である▼
世界的には中国とポーランドがこの太陽電池の開発に熱心であり、35年の世界の市場規模は8300億円に達するとの試算もある。日本には、電池をつくるための溶剤の原料であるヨウ素と鉛は豊富に存在することもうれしい▼
これまで、日本は電力の開発において、欧州と比較して再生可能エネルギー分野の開発が極めて遅れている。しかし、政府の支援とも相まって、この電池の積極的な導入によって一気に挽回することも可能であり期待したい
(政治経済社会研究所代表・中山文麿)
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