日本商工会議所の三村明夫会頭は15日、日本経済団体連合会の中西宏明会長と共に内閣府の宮腰光寛一億総活躍担当大臣と懇談した。懇談では、2020年度卒業・修了予定者の就職・採用活動に関して政府が要請している、広報活動3月以降、採用選考活動6月以降などとするルールについて意見交換を行った。三村会頭は、ルールの廃止は、活動の早期化・長期化やそれに伴う企業負担の増加、また、学生の混乱や学業時間の確保を妨げる恐れもあることから、日商としても何らかのルールが必要と主張してきたことに触れ、「これまでは、ルールが必ずしも順守されていないとの指摘があるのも事実」と述べ、政府によるルールの周知も求めた。
政府が協力要請
宮腰大臣は懇談で、「現時点では、急激なルール変更が学生に混乱を生じさせる恐れがあることや、企業の雇用慣行が短期的には変わりづらいことを踏まえると、今回の要請を順守していただくことが大切」と述べ、ルールの順守を求めた。
就職・採用活動ルールについては、これまで経団連による「採用選考に関する指針」の策定、就職問題懇談会による「申し合わせ」、関係省庁による経済団体などへの要請、というプロセスによって、就職・採用活動の日程などに関するルールが毎年度定められてきた。しかし、2018年10月、経団連が、今後、「採用選考に関する指針」を策定しない方針を示した。
政府は、これに対し、学生が学修時間などを確保しながら安心して就職活動に取り組むことができるようにする必要があること、そして、大学側のみならず、日商や経団連などからも当面は何らかのルールが必要であるとの認識が示されたことなどから、「就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議」を開催。18年10月に、現行と同じ日程(広報活動3月以降、採用選考活動6月以降)の順守を求める「2020年度卒業・修了予定者の就職・採用活動に関する考え方」を取りまとめた。
こうした状況を踏まえ、政府は19年3月に、加盟企業などへの就職・採用活動開始時期の順守や学業への配慮などを要請する「2020年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請について」を経済団体などへ発出していた。
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