地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化「100年フード」の中から、文化庁、有識者がリレー形式で紹介します。
令和4年度「100年フード」に認定された「狭山茶」。埼玉県と東京都にまたがる狭山丘陵地域を発祥地とし、埼玉県入間市、所沢市、狭山市、東京都西部地域などで生産されています。お茶といえば静岡が特に有名ですが、実はこの狭山丘陵周辺も一大産地であり、お茶という食文化が生活の中でさまざまに息づくエリアです。
私自身が所沢市の出身ということもあり、狭山茶は幼い頃からどの家庭にもある慣れ親しんだお茶で、いうなれば“ソウルドリンク”のような存在でした。そのため狭山茶が令和4年度の100年フードに選定されたことは、地元民としてとても誇らしいものでした。
狭山茶の品質および人気の理由には、狭山丘陵周辺の気候と土壌条件が茶の栽培に適しており、ゆっくりと成熟して豊かな甘みとうまみが感じられる茶葉になることがあります。またお茶の産地としては冷涼なエリアであり、収穫できる期間が短いため冬の間に茶樹(ちゃじゅ)を十分休ませることができ、それによって茶葉の厚さが増し、狭山茶の特色である深みのあるコクを出していることも挙げられます。
最近では、狭山茶を使ったさまざまなスイーツも人気です。狭山茶のラスクやチーズケーキ、プリン、ティラミスなどなど、地元のお茶を使った新たな商品が日々生まれています。茶道や茶の湯といった伝統的な文化においても、重要な役割を果たしている狭山茶。ぜひ皆さんも本場のお茶の味を感じに、現地に足を運んでみてください。
100年フード
文化庁は、①地域の風土や歴史の中で創意工夫し地域に根差したストーリーを持つ②世代を超えて受け継がれてきた③地域の誇りとして100年を超えて継承することを宣言する団体が存在する、食文化を「100年フード」として認定しています。
100年フード公式ウェブサイト ▶ https://foodculture2021.go.jp/jirei/
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