日本商工会議所は11月15日、特許庁で議論されている知的財産紛争処理システムの見直しに対する意見書を東京商工会議所と共同で取りまとめた。同意見書では、「現行の知財紛争処理システムの下では、中小企業は特許などの知財侵害を受けた場合に、ビジネスをしっかりと守ることができていない」と指摘。中小企業が技術を開発しても、知財権を取得・活用する意欲を大きくそがれていることから、企業の創意工夫の成果である知財の価値が十分に評価されるための方策の一つとして、予見可能性が高く、国際的に調和の取れた知財紛争処理システムの再構築を求めている。
見直しに当たっては、①損害賠償制度の見直し、②証拠収集手続きの強化、③訴訟に係る弁護士費用の負担配分、④中小企業に対する裁判費用の支援、⑤権利の安定性――の5点を要望している。①については、特許法第102条各項に基づく算定方法の見直しや法定損害賠償の導入など、損害賠償の額を適切な水準に引き上げる方策を講じるべきと指摘。特に、同法第102条第3項の特許実施料相当額については、損害賠償額が「通常の特許実施料相当額」を上回るよう法定するとともに、増額につながる考慮要素を明確にするよう求めている。さらに、悪質な侵害行為を防止するための制度などについても早急に対応するよう要望している。
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