日本商工会議所は10月22日から28日まで、4年ぶりとなる会頭を団長とする大型経済ミッションを、フィリピン、マレーシア、シンガポールの3カ国に派遣した。ミッションには日商の小林健会頭を団長に、上野孝副会頭(横浜・会頭)、川崎博也副会頭(神戸・会頭)など各地商工会議所役員・会員ら70人が参加し、現地では、フィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領をはじめ、各国元首・大臣を表敬訪問したほか、現地経済団体との経済対話を実施。また、フィリピン商工会議所(PCCI)、マレーシア製造業者連盟(FMM)と今後の協力拡大に向け、覚書(MOU)を締結した。
フィリピンではマルコス大統領を表敬訪問したほか、PCCIと経済対話を実施。フィリピン側からは、喫緊の課題としてエネルギー政策が挙げられ、再生可能エネルギーへの転換、グリーンボンドなどの投資手段に対する支援、農業については、品質向上および輸送課題の解決に資する技術的な支援を要請された。日本側からは、付加価値税(VAT)の還付手続きの課題改善に対する期待を表明した。
マレーシアでは、FMMらと共催でビジネスラウンドテーブルを開催し、ザフルル・アジズ投資貿易産業大臣による基調講演後、FMMとのMOUを締結。ラウンドテーブルでは、「マレーシアの優位性と投資の魅力」「産業競争力を加速する成長戦略」などをテーマにディスカッションを行い、マレーシア側からは、再生可能エネルギー、カーボンニュートラルへの対応など、新分野での協業に期待を示された。
シンガポールでは、タン・シーレン第二貿易産業大臣兼人材開発大臣、ローレンス・ウォン副首相兼財務大臣と会談したほか、シンガポール・ビジネス連盟(SBF)とビジネス対話を実施。対話では、「シンガポールのスマート構想とビジネスチャンス」「DXによる新たな価値創造」「デジタル技術を活用した建設業界の変革」などのテーマで両国代表からプレゼンテーションを行い、意見交換を実施。生産性の向上をはじめ、行政手続きの視点からも、デジタル化は双方にとって重要であり、デジタル化の進展に向けた両国の協力の必要性について意見が一致した。
小林会頭はミッションを総括して、「日本への期待は、訪問した3カ国とも、引き続き伝統的なものづくり・インフラがベースであると感じた。新分野では、再生可能エネルギー、カーボンニュートラルへの対応、イノベーション、デジタルなどに変わりつつあることも感じられた」の所感を表明。一方、経済安全保障の視点から、「エネルギーの安全確保、サプライチェーン構築など、各国が一緒になって対応していくことの重要性も双方の認識が確認できた」と手応えを口にした。
国際関連情報https://www.jcci.or.jp/international/
海外展開イニシアティブhttps://www.jcci.or.jp/international/kaigaitenkai/
日商AB(会頭ミッション)https://ab.jcci.or.jp/tag/5165/
記事提供: 日本商工会議所
最新号を紙面で読める!