日本商工会議所の小林健会頭は11月16日、定例の記者会見で、外形標準課税の適用拡大について、中小4団体連名で断固反対を表明する意見書を公表したことを説明した。また、15日に開催された政労使会議における議論に言及。「労務費の増加分の価格交渉と転嫁は中小企業の死活に関わる重要な問題」との考えを改めて表明した。
会見の冒頭、小林会頭は13日、鳥井信吾副会頭(大阪・会頭)、嶋尾正副会頭(名古屋・会頭)、上野孝副会頭(横浜・会頭)、川崎博也副会頭(神戸・会頭)らと共に、大阪・関西万博会場の視察や2025年日本国際 博覧会協会との意見交換を行ったことを報告。同協会から「各地商工会議所に対する機運醸成の依頼があった」と述べるとともに、「機運を盛り上げるには、万博のイメージや絵図、コンテンツを前面に出す必要がある」と指摘し、各地商工会議所のネットワークを通じたPRに協力を惜しまない考えを示した。
外形標準課税の適用拡大については、中小4団体連名で意見書「外形標準課税の中小企業への適用拡大には断固反対する」を公表したことに触れ、「中小4団体の総意であり、関係者に幅広く周知していく。中小企業に及ばないようにしてほしい」と強調。大企業の減資については、「矜持の問題だ」と述べ、課税逃れ防止の趣旨には理解を示した。
価格転嫁問題については、政労使会議における議論に触れ、補正予算で中小・小規模事業者関連として、人手不足、価格転嫁など総額6千億円が計上されたことを高く評価。その上で「労務費の増加分に関する価格交渉と転嫁は中小企業の死活問題。やれることは万難を排してやるべき」との考えを表明した。
また、物価高と為替については、「賃上げをしても物価の高騰がそれを上回っており、追い越すのは不可能な状況。経済全体を見据えれば、物価高騰の要因の半分は為替の影響であり、円安を何とかすべき」と指摘。また、政労使会議の場でも、外形標準課税の適用拡大に強く反対したことを明かし、「外形標準課税は賃金課題であり、賃上げするほど税負担が増す。官民挙げて取り組もうとしている『構造的・持続的な賃上げ』の方針に完全に逆行する」という見方を示した。
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