日本人の元旦のおとそ気分を吹っ飛ばした能登半島の地震の余震や被災の傷はまだ収まっていない。観光名所で有名な輪島の朝市通りのまち並みも消火活動の難航もあって約200棟を焼き尽くしてしまった▼
この地域は、元々2020年12月から群発地震が頻発しており大きな地震が起こるのではないかと懸念されていた。震源は能登地方で深さは16㎞と浅く、地球の表面を覆う岩板(プレート)内部で起こった「内陸型地震」である。能登半島西端から新潟県佐渡島の方向に四つ以上の活断層が長さ150㎞にわたって連動して動いた。これは押し合う力によって断層面が上下にずれ動いて発生した逆断層型だ▼
地震の規模はマグニチュード(M)7.6と推定され、阪神淡路大震災(M7.3)の2.8倍のエネルギーである。日本海側で起きた地震では最大級に近く、石川県で震度7を観測したのは初めてである。国土地理院は全地球測位システム(GPS)を使って解析したところ、輪島市が西方向に最大1.2mずれるとともに、約1.1mの地表の隆起を観測した。木造家屋など中低層の建物が損壊しやすい周波数1~2秒の地震波も記録されていた▼
日本列島の東側で沈み込んだプレートから染み出した水が能登半島の下で上昇して、地下の圧力を高めたり、断層面に入り込んで断層面の固着層を滑りやすくした可能性が指摘されている。北陸電力志賀原発(石川県)では津波の被害も含めて外部への放射能漏れなどの影響がなかったことは幸いだった。日本ではM7クラスの地震がいつどこで起きても不思議でない現実を突き付けられたことは、日本に住むわれわれへの警鐘でもあることを忘れてはならない
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