日本商工会議所は1月23~26日、日中経済協会、日本経済団体連合会と合同で訪中団を4年ぶりに派遣した。訪中団には、日本商工会議所の小林健会頭、日中経済協会・進藤孝生会長、経団連・十倉雅和会長ら総勢約210人が参加。新たな日中経済協力やビジネス環境改善に向け、李強首相や王商務部長など中国政府幹部らと意見交換を行った。
合同訪中団は25日、人民大会堂で李強首相と会談。日商の小林会頭は、「日中両国は一衣帯水の隣国であり、経済的にも不可分。分断よりも協調に軸足を置いた経済交流が必要」と述べるとともに、日本産食品については、両国間の科学的根拠に基づく建設的な協議に期待を示した。
また、進出日本企業の中国市場における予見性、公平性、透明性の高い事業環境の維持の必要性を指摘。ビザ免除措置の一刻も早い再開など中国日本商会が進出日本企業の抱えるビジネス環境の課題を取りまとめた白書を手交した。
経団連の十倉会長は、透明かつ予見可能性の高いビジネス環境の整備や、科学的、客観的事実に基づかない規制の撤廃などを要望。日中経協の進藤会長は、国際スタンダードを尊重した予見性・透明性の高い法制度の運用や安心・安全に自由な経済活動に臨める環境整備を求めた。
李強首相は、大規模な訪中団に歓迎の意を示すとともに、より緊密な二国間関係の構築、経済貿易関係のさらなる緊密化、ビジネス環境のさらなる最適化について言及。二国間関係については、両国交流の主旋律は「平和」「友好」「協力」との考えを表明した。
経済貿易関係の緊密化に向けては、日本を含む世界経済との関係を「持ちつ持たれつ」と表現する一方で、人的往来強化については、「ビザ免除措置は対等が原則」と指摘。一部の国々の「スモールヤード・ハイフェンス」「デカップリング」「デリスキング」に不満を示し、中国商務部と経済産業省の輸出管理対話が開催されたことを評価した。
また、ビジネス環境の最適化に関連し、中国日本商会の白書を手渡した小林会頭に感謝の意を表明。対外開放という基本的国策を堅持する考えを示すとともに、在中国外資系企業の内国民待遇のさらなる保障に取り組む考えを示した。
24日に開催した中国・国家発展改革委員会との全体会議では、日商の上野孝副会頭(横浜・会頭)、大島博特別顧問(東京・副会頭)、國分文也特別顧問(東京・特別顧問)らが発言。上野副会頭は、2027年に横浜で開催予定の国際園芸博覧会を紹介し、日中交流の一層の促進に期待を表明した。
訪中団はこのほか、商務部、工業信息化部などの主要経済官庁幹部との全体会議やレセプションなどを開催。25日に開いた商務部との会議で小林会頭は、日本人に対するビザ免除措置の再開や日本産食品に対する輸入措置の撤廃を要望するとともに、「データセキュリティ3法や反スパイ法の明確な運用を求める」と述べ、中国側に改善を求めた。
最新号を紙面で読める!