今年、市制施行70周年を迎えるわが美濃市は日本のほぼ中央に位置し、名川長良川を望む緑豊かな山並みと伝統文化が息づくまちです。その伝統文化の代表格は何といっても1300年の間、受け継がれている美濃和紙で、中でも原料や製法が厳しく定められた本美濃紙をすく技術はユネスコ無形文化遺産に登録されてはや10年を数えます。最近では東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の入賞者に贈る表彰状に、この美濃手すき和紙が採用されたことは記憶に新しく、身近な美濃和紙が世界的に評価されているという誇らしさとともに、伝統技術を継承していくことの大切さを再認識させてくれました。
また、美濃市は中心市街地に江戸時代から明治・大正時代の歴史的建造物が立ち並ぶ「うだつの上がるまち並み(国重要伝統的建造物群保存地区)」があります。その周辺では毎年、美濃和紙あかりアート展など魅力的な祭典が開催されるため、年間を通じて国内外からの多くの観光客でにぎわいます。
美濃和紙は柔らかみのある繊細な風合いでありながら、強靭(きょうじん)で耐久性があり、薄くてムラがないという特長があります。私が代表を務めている大福製紙株式会社はこの和紙の特性を備えた特殊紙を機械で生産し、さまざまな用途にご利用いただいています。中でも特に注目を集めているのが、独自開発した紙糸です。軽さ、吸湿性、通気性、嵩高(かさだか)性などの特徴を生かし、カーディガン、ジャケット、ジーンズ、タオル、靴下などに抄繊糸(しょうせんし)として利用されています。1934年に私の祖父らが創業し、当初は製品開発に行き詰まり、経営が厳しい時代もありましたが、機械すき和紙が工業材から生活資材用途まで市場が広がり、おかげさまで今年、創立90周年の節目を迎えることができました。
会社の周りには美濃橋(日本最古の近代つり橋)、曽代用水(世界かんがい施設遺産)、川湊灯台(重要文化財)があります。歴史的遺産を眺めながら、長良川や山々の四季を感じ、散歩するのが楽しみです。趣味のゴルフは友人と月1回ほどのペースでプレーしています。下手になりましたが、たわいない話をしながらラウンドを楽しんでいます。
コロナ以降、企業を取り巻く環境は大きく変わってきています。会員企業の皆さんのニーズに応えながら、“皆さまのお役に立てる商工会議所”を目指し、その実現に向け、懸命に取り組んでまいります。
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