政府は1月25日、「令和6年能登半島地震非常災害対策本部」会合を開き、「生活の再建」「生業の再建」「災害復旧」の3本の柱で緊急に対応すべき施策を「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」として取りまとめ、公表した。会合に出席した岸田文雄首相は、各閣僚に支援パッケージを直ちに実行に移すよう指示。各支援策について、被災者目線に立った分かりやすい広報を行うことなどを求めた。
「生活の再建」では、「避難所などにおける生活環境の改善」「命と健康を守るためのホテル・旅館等への二次避難」「住み慣れた土地に戻るための住まいの確保」「切れ目のない被災者支援」「金融支援・税制上の対応」などを提示。具体策として、罹災証明書の早期交付のため被害認定調査の簡素化・人的支援や、倒壊家屋の解体・撤去支援、災害廃棄物の処理円滑化に向け、全壊家屋に加え、半壊家屋も解体支援(自己負担ゼロ)することなどを盛り込んだ。 「生業の再建」に向けては、地域経済を支える中小・小規模事業者、農林水産業、伝統産業、観光業における、雇用の維持や事業継続の支援を手厚く講じ、持続可能な地域経済の再生に全力で取り組む。具体的には、中小・小規模事業者の支援策として、「施設等の復旧を支援(なりわい再建支援事業(補助率4分の3など、最大3億円または15億円))」「小規模事業者の販路開拓を支援(災害支援枠(補助率3分の2など、最大200万円))」「商店街の再生支援(アーケード・街路灯などの復旧、賑わい創出支援)」「伝統産業の事業継続に必要な道具や原材料の確保など、迅速な事業再開の後押し」などを提示。金融支援策としては、「コロナ債務返済負担軽減策(リスケ時の追加保証料ゼロ、劣後ローンにおける金利優遇措置、二重債務問題への対応など)」「資金繰り支援(日本政策金融公庫・別枠3億円、金利0.9%引き下げ(上限・期間あり)など)」を示した。
販路拡大、観光復興に向けた支援策については「能登半島産品の販売促進支援(特設サイト、販促イベント)」「風評対策として、観光地や交通機関の現状に関する正確な情報の発信、観光プロモーションの重点的実施(2~3月)」「『北陸応援割』(3~4月、補助率50%、最大2万円/泊)。能登地域については、復興状況を見ながら、より手厚い旅行需要喚起策を検討」「ふるさと納税の積極的な活用による特産品販売、旅行などの促進」「観光地の復旧計画の策定・実行支援、まちづくり支援、コンテンツ造成の支援」などを盛り込んだ。
地域の雇用対策については、「雇用調整助成金の助成率引き上げ(中小企業3分の2→5分の4、大企業2分の1→3分の2)、支給日数延長(100日/年→300日/年)など」「災害によって事業所が休止した場合などにも雇用保険の失業手当支給」などを講じる。インフラなど災害復旧に向けては、「激甚災害(本激)への指定」「大規模災害復興法に基づく非常災害への指定」「国による権限代行(災害復旧工事など:道路(能越自動車道)、河川・砂防(河原田川)、港湾、漁港など)」などの具体策を示した。
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