日本商工会議所は3月21日、齋藤健経済産業大臣との懇談会を都内で開催し、日本経済、中小企業の賃上げなどについて意見交換を行った。会合には、日商側から小林健会頭はじめ13人、経産省側は齋藤大臣ら22人が出席。小林会頭は、能登半島地震の復旧・復興支援、中小企業の持続的な賃上げ、取引価格の適正化などの重要性を指摘するとともに、「中小企業の自己変革への支援、価格転嫁の商習慣化に向けた粘り強い取り組みをお願いしたい」と要望した。
懇談会には、日商から小林会頭のほか、嶋尾正副会頭(名古屋・会頭)、上野孝副会頭(横浜・会頭)、川崎博也副会頭(神戸・会頭)、福田勝之副会頭(新潟・会頭)、岩田圭剛副会頭(札幌・会頭)、池田晃治副会頭(広島・会頭)、谷川浩道副会頭(福岡・会頭)、藤﨑三郎助副会頭(仙台・会頭)、綾田裕次郎副会頭(高松・会頭)、石田徹専務理事ら13人が出席。経産省側は齋藤大臣はじめ、岩田和親副大臣、上月良祐副大臣、吉田宣弘大臣政務官、石井拓大臣政務官、飯田祐二事務次官ら幹部22人が出席して、意見交換を行った。
会議の冒頭、小林会頭は、能登半島地震の被災地を訪問し、石川県内の会頭と意見交換したことに触れ、被災地の復旧・復興に向け「長期戦を視野に入れ、継続的な支援が不可欠だ」と強調。中小企業施策については、商工会議所として、中小企業の自己変革を後押しする施策の周知・活用支援に取り組む考えを示す一方、「伴走型で支援する経営指導員は不足している」と指摘し、小規模支援法の見直しを機に、商工会議所の支援体制を拡充するよう求めた。
取引価格の適正化については、「パートナーシップ構築宣言の推進・実効性確保などにより、一定程度進んでいるものの、労務費については十分に進んでいないのが実情だ」と指摘。大企業に対しては、「社会的責務として、経営者が先頭に立ち、調達現場の価格交渉をリードしてほしい」と述べ、中小企業に対しても「より規模の小さな事業者との価格交渉に応じなければならない」と述べた。
齋藤大臣は、「日本経済が新しいステージに移るには、物価上昇を上回る可処分所得の実現が重要。中小・小規模事業者の賃上げ交渉が本格化する、これからが正念場だ」と指摘。「サプライチェーンの隅々まで価格転嫁を浸透させるため、政府も全力で取り組んでいる。産業界にも積極的な対応をお願いしたい」と述べ、商工会議所に協力を求めた。
中国などによる日本産水産物の輸入規制については、「ALPS処理水の海洋放出に伴う輸入規制措置についても、引き続き即時撤廃を求めていく」と強調。大阪・関西万博については、来年4月の開幕に向け、残り約1年の準備期間に力を尽くしていく考えを示した。
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