政府はこのほど、「中堅企業等の成長促進に関するワーキンググループ」を開催し、中堅企業の成長を後押しするため、各府省庁における税制優遇措置や補助金など中堅企業が活用可能な施策をまとめた「中堅企業成長促進パッケージ」を策定した。政府は2024年を「中堅企業元年」と位置付け、支援を強化。従業員2000人以下の企業を法的に「中堅」と位置付ける改正産業競争力強化法の今国会での成立を目指している。
パッケージは、「国内投資拡大・イノベーションの促進」「良質な雇用の実現」「外需獲得の支援など」「経営基盤の強化・整備」の重点4本柱を基に、12府省庁・全190の施策を抽出。このうち、特に中堅企業の成長促進に効果的な18事業を厳選し、作成した。
「国内投資拡大・イノベーションの促進」では、経済産業省の「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」「大規模投資促進のための地域未来投資促進税制の拡充」といった企業立地・投資への支援策を提示。総務省の「ローカル10000プロジェクト」、国土交通省の「物流業務の自動化・省人化、輸送効率化、デジタル化」などの支援策も盛り込んだ。
「良質な雇用の実現」に向けては、厚生労働省の「キャリアアップ助成金」「人材開発支援助成金」、経産省・中企庁の「賃上げ促進税制における中堅企業枠の創設」などの施策が並ぶ。地域における人材獲得や海外から人材を呼び込む施策として、内閣官房・内閣府の「プロフェッショナル人材事業、先導的人材マッチング事業」、金融庁の「地域企業経営人材マッチング促進事業」、入管庁の「マッチングイベントなどの実施による特定技能制度の活用促進」などを示した。
「外貨獲得(グローバル展開・インバウンド取り込み)」の支援策では、農林水産省の「効率的な輸出物流の構築・輸出向けHACCPなど対応施設の整備」「農林水産物・食品輸出プロジェクト(GFP)」「HACCPなどへの対応支援」、国交省の「中堅・中小建設企業の海外進出支援業務」「特別な体験の提供などによるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業」、外務省の「開発途上国の課題解決型ビジネスづくり支援」などで成長を後押し。「経営基盤の強化・整備」に向けては、経産省の「新事業展開などへの集中支援」「中堅・中小グループ化税制」の活用を呼び掛ける。
同ワーキンググループに出席した日本商工会議所の立野純一中小企業委員長(大阪・副会頭)は、「中堅企業への支援強化を歓迎する。経営者の声をよく聞き、社会課題解決につながる政策の検討をお願いしたい」と要望。森屋宏官房副長官は、「支援パッケージは重要な第一歩。これを足がかりとして、さらなる成長促進に必要な支援策強化などに取り組んでいく」との考えを示した。
詳細は、https://www.kantei.go.jp/jp/singi/katsuryoku_kojyo/seichou_sokushin_wg/dai7/siryou1.pdfを参照。
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