炭を通じた土佐との結びつき
大阪府堺市は、仁徳天皇陵をはじめ数多くの古墳があるだけでなく、江戸時代以前から外国貿易の拠点であり、“商人のまち”として栄えてきた。熱処理加工業のダイネツは、初代の葛籠屋(つづらや)安兵衛が文化10(1813)年にこの地で炭問屋を創業したことから始まった。当時、堺では刀や包丁の鍛冶が盛んで、鉄を熱するための炭が大量に必要とされていたという。 「実は葛籠屋は室町時代に堺で瓦を焼いていたという史料があるのですが、1615年の大坂夏の陣で堺が焼き討ちされたこともあり、その後200年間の記録はとびとびでしか残っておらず、以前の葛籠屋と今のうちとの関係が立証できません。残っているのは文化10年の看板だけですが、この年を創業年にしています」と、初代安兵衛から数えて十代目の、ダイネツ会長の葛村和正さんは言う。
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