過疎化・少子高齢化は、地域社会の活力喪失や地域経済の疲弊など大きな影響を及ぼしている。文化領域でも、文化財の保存を担ってきた地域コミュニティーの衰退や担い手の減少から、歴史的な文化財・文化資源の滅失や散逸が相次いでいる▼
このため、文化庁では改正文化財保護法(2018年)により、都道府県の文化財保存活用大綱とともに、市町村に対して「文化財保存活用地域計画」の策定を働きかけた▼
20年スタートのこの制度は、わずか3年間で大きく進展、今や全国139の市町村計画が認定されている。市町村の意欲は高く、今や順番待ちの状況も見られる。それだけ地域の危機感も強いということである▼
同計画では、未指定を含めた地域文化財を総合的・一体的に把握するために綿密な資源調査が行われる。その過程で自地域の歴史文化の特徴をしっかりと分析し、これらを歴史・文化的な関連性の強い「関連文化財群」として取りまとめる。そして文化財が集積しているエリアとその周辺環境を面的に捉えた「文化財保存活用区域」として設定、これらをまちの将来像の実現に向けた保存と活用の計画として取りまとめるといった手順である▼
計画は、いわば地域文化の保全・活用のマスタープランであり、かつ実際の活動の指針となるアクションプログラムでもある▼
何より重要なのは、これら計画の実効性を担保する主体づくりである。「文化財保存活用支援団体」は、文化財の保存とともに古民家再生など文化資源活用を通じて地域に新しい活力と経済を再生する大きな役割を担っている▼
地域活力の源泉でもある文化資源の保存・活用は、今や待ったなしの課題である
(観光未来プランナー・日本観光振興協会総合研究所顧問・丁野朗)
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