劇場版アニメ映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』が4月12日から公開されている。興行通信社によると、5月12日までで動員数898万人、興行収入128億円を突破。本作の舞台はサブタイトルからも察せられる通り北海道函館市だ。市も関連予算2000万円をつけ、本格的にコンテンツツーリズムを展開。
『名探偵コナン』は1994年に『週刊少年サンデー』で連載が開始された、青山剛昌氏によるミステリ漫画。96年からテレビアニメが放送、その翌年から劇場版が毎年公開され始めた。2016年の『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』では興行収入63・3億円と、50億円を突破。コナンの映画は一時期「邦画界を救った」とまでいわれた超人気コンテンツだ。
今回、久々にコナン映画を劇場に見に行ったが「すごい」の一言。謎解きとロマンスをメインにしたアクション超大作に仕上がっている。何を言っているか分からないという人はぜひ見てほしい。函館市だけでなく道内各地の観光地が描写され、ゾンビ先生も大好きな函館グルメ「ラッキーピエロ」もしっかり登場するこだわりよう。広告・宣伝効果、それによる観光入込客数増を考えると、市の予算は十分元が取れる金額だろう。
函館市は、ほかにもさまざまなコンテンツで舞台になってきた。一押しは『雪割りの花』(1998年)で、PlayStation用ソフト「やるドラ」シリーズの一作。プレイヤーが選んだ選択肢によって展開が変化するゲームで、本作のアニメーション制作を担当したスタジオはProduction I・G。あの有名な『攻殻機動隊』シリーズや『ハイキュー!!』などを手掛ける。
コナンで注目を集める函館市、それをきっかけに他のコンテンツへも波及が進むと面白い。地域には「作品」の記憶が堆積している。その記憶を掘り起こし、楽しみ方をデザインしていくことで、コンテンツツーリズムはさらに深まる。
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