日本政策金融公庫(日本公庫)はこのほど、「中小企業のデジタル化に関する調査」(「全国中小企業動向調査・中小企業編」2024年1―3月期特別調査)の結果を公表した。調査結果によると、5年前と比べデジタル化が進んでいると回答した企業は全体の約7割。デジタルツールを導入した企業の5割超が業務の効率化や標準化の点で成果が上がっていると答えた。一方、人手不足の解消には期待ほどの成果が得られていないことも分かった。
同調査は3月中旬に、日本公庫の取引先(中小企業)1万2080社を対象として実施。4350社から回答を得た(回答率36.0%)。
調査結果によると、5年前と比較したデジタル化の状況については「かなり進んでいる」「やや進んでいる」と回答した企業の割合が69.6%。規模が大きい企業ほどデジタル化が進んでいることが分かった。現在のデジタル化への取り組み方針を見ると、「かなり積極的に取り組んでいる」「積極的に取り組んでいる」の合計は47.6%となっている。
デジタル化に取り組んでいる企業のデジタルツールの導入状況は、「ホームページ、SNS」が88.5%と最多。次いで「会計システム」(86.9%)、「Web会議システム」(68.3%)、「販売管理システム」(62.1%)、「勤怠・労務管理システム」(58.4%)の順となった。デジタルツールの導入による業績全体へのプラスの影響については5割超が「期待以上の成果が上がっている」「期待通りの成果が上がっている」と回答。デジタルツールの導入による具体的成果としては、「業務の効率化」「業務の標準化」で期待以上・期待通りの成果が上がっているとの回答が過半を占めている一方、「人手不足の解消」については「期待したほどの成果は上がっていない」(46.9%)とする割合が高かった。
デジタル化の課題については、「導入コストの負担が大きい」が56.2%と最多。次いで「費用対効果を図ることが難しい」(50.0%)、「維持コストの負担が大きい」(40.2%)の順となっている。
デジタル化を主導する人材の過不足については「かなり少ない」「やや少ない」の合計が69.4%。規模別、業種別でも同様の傾向が見られ、人手不足が課題となっていると分析されている。デジタル化を主導する人材を確保する取り組みとしては「既存従業員の教育」(34.6%)、「人材の中途採用」(24.2%)、「ITベンダーなどの活用」(20.6%)などが挙げられている。今後5年間のデジタル化への取り組み方針については「かなり積極的に取り組む予定」は6.8%、「積極的に取り組む予定」は50.3%だった。
詳細は、https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tokubetu_240524.pdfを参照。
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