円安傾向になかなか歯止めがかからない。4月下旬、円・ドルレートは160円24銭まで円が下落する場面もあった。その後、介入などもあり円は反発したが、本格的な反転までは至っていない。円安と世界的な資源や食料品の価格上昇で、必要な資材の輸入が難しくなるケースも出始めている。円安とオレンジの不作で、ジュースの材料を確保できないメーカーも出ているという。円安により物価が上昇するなど、私たちの日常生活にも影響が及び始めている。
円安進行の根本的な原因の一つに、わが国経済の実力が低下していることがある。景気の低迷を金融緩和で支えるため、これまでの常識を超える大規模な金融緩和を行ってきた。1990年代初めに資産バブルが崩壊して以降、わが国では事実上のゼロ金利の環境が続いた。2013年以降は、“アベノミクス”により異次元の緩和策が強化された。日本銀行は国債流通市場から長期国債を大規模に買い入れ、大幅に通貨供給量を増やした。
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