埼玉県商工会議所連合会はこのほど、埼玉県、県トラック協会など23の団体、企業と「埼玉の持続可能な物流の確保に向けた共同宣言」を行った。同県が抱える物流課題に対し、行政だけでなく物流事業者や大学などの関係団体も加わった産官学連携で解決に取り組む。
同宣言では、物流業界の人手不足を克服し、持続可能な物流体制の構築に向けて社会全体で連携して取り組むことを県内経済や県民生活に直結する重要な課題と位置付けている。また、体制構築に取り組むことにより、サプライチェーン全体の共存共栄と消費者の利便性確保、地域経済の発展と県民生活の向上に寄与することが宣言されている。
連携して取り組む事項として①物流の円滑化に向けた取り組み②物流業界の人材確保・定着に向けた取り組み③再配達の削減徹底に向けた取り組み――の3項目が挙げられている。
①では商慣習の見直し、物流の効率化、労働環境改善のために自社の取り組みを宣言する「ホワイト物流自主行動宣言」の推進を行う。②では、法令順守と労働環境の改善、担い手確保に向けた業界の魅力発信、多様な人材の活用とマッチングを図る。③では玄関前などに荷物を届ける「置き配」や宅配ボックスの利用、1回の配達で確実に受け渡しできる日時、場所の選択を呼びかける。
同宣言の背景には、今年4月からドライバーの時間外労働時間の上限が年間960時間となり、働き方改革が進む一方、人手や輸送能力の不足が課題となっている「物流の2024年問題」がある。国は何らかの対策を行わなかった場合、輸送能力は30年度までに34・1%不足する可能性があるとしており、特に道路網が発達し、物流のハブ拠点となっている同県では対策を行わなければドライバー不足人数は東京都、大阪府に次ぐ全国ワースト3位となる推計も出ている。
9月3日に開かれた共同宣言式で同会の池田一義会長は「物流の維持と発展は地域経済の健全な成長を支える要であり、特に埼玉県は、首都圏と地方を結ぶ交通の要衝であり、首都圏の大動脈を支え、その役割は一層重要である。共同宣言の締結に当たり、国や県、関係団体と共に、この課題に立ち向かい、持続可能な物流体制の確保に向けて積極的に協力し、地域経済発展と県民生活の質の向上に取り組んでいきたい」と述べた。
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