国内外から訪れた観光客でごった返す京都、ゾンビ先生の目当ては展覧会「日本の巨大ロボット群像 ―鉄人28号、ガンダム、ロボットアニメの浪漫―」。京都府京都文化博物館でこの夏に開催された。
本展は、2023年9月に福岡、24年2月に神奈川、4月に香川で開催された後、京都に巡回してきた。以前、書籍『巨大ロボットの社会学』(法律文化社)に「巨大ロボットと観光」という章を寄稿した者としても、これは行かねば!
全体を通してとても工夫が凝らされており、巨大ロボットアニメの歴史的展開、ロボットのデザイン、アニメーション表現、玩具展開などのさまざまな面を取り扱いながら、それぞれの情報も濃度が高く、大変満足のいくものであった。あとパトレイバーの実写映画が扱われていて最後のパネルには押井守監督も登場して良かった(早口でお読みください)。
観光研究者として面白かったのは、冒頭が「日本各地で“現実化”した巨大ロボットたち」だったことだ。横浜にあった「動く実物大ガンダム」や神戸の「鉄人28号」像、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』の撮影に使用された後、全国各地を巡回した実物大「98式AVイングラム」。こうした「実体化」された巨大ロボットで本展は幕を開ける。
観光において「巨大であること」は重要だ。巨大なタワーを見上げ、大仏を見上げ、恐竜博物館で恐竜を見て、動物園でゾウを見て、旬のカニが運ばれてきて、人々が口々に言うのは「大きいねぇ!」である。「巨大であること」は、そのサイズが通常から逸脱しているが故に、人々の視線を集め、それだけで観光資源となる。本展は「大きなもの」と「物語」について考えさせてくれる。
展覧会は、これから東京、愛知、福島を巡回することが決まっている。未見の人、すでに見た人も、ぜひ一度足を運んで、「観光」との関わりというマニアックな目線でお楽しみいただければと思う。
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