子どもの頃、お小遣いをためて、よくカプセルトイやトレーディングカード(トレカ)を買った。全種類コンプリートを目指して、友達と見せ合いっこしたり、カードゲームをしたりするために、小銭を握りしめて販売機を探し、走り回ったのも良い思い出だ。
トレーディングカードゲームの代表作『マジック:ザ・ギャザリング』は、1993年に米国で発売された。カードを収集し、組み合わせてデッキと呼ばれるセットを構築して、対戦ゲームを遊ぶ。この形式は、さまざまなブランドを生み出し、日本でも90年代に『ポケモンカードゲーム』や『遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム』などが発売され始め、「トレカ」文化が花開いた。
新潟県の燕三条では、『匠の守護者』というオリジナルトレーディングカードシリーズが展開されている。「燕三条匠の守護者プロジェクト」によって主催され、新潟市にある日本アニメ・マンガ専門学校が共催、後援に三条市、燕市観光協会、三条市観光協会が並ぶ。
この取り組みは、燕三条にあるものづくり関連の会社や商店、団体を、日本アニメ・マンガ専門学校の学生デザイナーが擬人化し、トレーディングカードとして制作しているものだ。もともとは三条商工会議所青年部の企画として始まり、2019年に第1弾を出し、24年9月26日には第6弾が発売された。
高品質なコンテンツをつくるためには、そのテーマとなっているものについての綿密な研究が重要だ。カードをデザインする学生は担当した会社や商店などのことを調べて、それを絵柄に反映する必要がある。そうしてつくられた魅力的なコンテンツは、プレーヤーに地域の魅力を伝えるだろう。
トレカをつくり、集め、遊ぶ、これらのプロセスで、さまざまな立場の人と人がつながっていく。コンテンツツーリズムの新たな可能性を開く取り組みである。
最新号を紙面で読める!