橿原市に行き、大和八木駅を降りると「リュウ」がいた。泊まるホテルは市役所分庁舎の近くにあるのだが、そこには「春麗(チュンリー)」が仁王立ち。両方ともカプコンが開発・販売している対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場するキャラクターである。橿原市は同シリーズとのコラボ施策を行っているのだ。銅像は4カ所に立ち、デザインマンホールも3種展開、壁画もある。これらはマップに記載され、旅客の周遊を促している。
同シリーズでは、世界のさまざまな国から格闘家たちが集って対戦する。ゾンビ先生は大ヒット作『ストリートファイターⅡ』発売時は小学生で、家庭用ゲーム機のスーパーファミコンに移植されたバージョンで友達としのぎを削ったものだ。格闘ゲームでまちおこしなんて、いったいどんな人たちが来るのか、治安は大丈夫か、と心配になるだろうか。
最新作の『ストリートファイター6』は、2023年6月に発売され、25年11月に世界累計販売本数が600万本を超えた。かつては対戦格闘ゲームといえば、ゲームセンターでディープなファンが大量にコインを積んで熱中するイメージだったかもしれないが、現在その主戦場はネットワークに移行した。『スト6』はゲーム実況者やVTuberがこぞって配信したことで認知を拡大し、プレーヤーも増やした。eスポーツの文脈とも結び付いて、世界中にファンがいる。
橿原市とカプコンのつながりは、創業者である辻本憲三氏が同市出身という縁で1995年に始まって、2022年には包括連携協定の締結に至り、翌年には学校給食にコラボ献立が出されるなど、面白い展開を見せている。
「たかが格闘ゲーム」と侮ることなかれ。コンテンツを中心に、人も地域も食もつなぐことができるのだ。まさに、『ストⅡ』のキャッチコピー「俺より強い奴(やつ)に会いに行く」精神が炸裂(さくれつ)している。

