「企業のネットが星を被(おお)い、電子や光が駆け巡っても、国家や民族が消えてなくなるほど、情報化されていない近未来―」こんな言葉から始まるアニメ作品がある。1995年に公開された『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(原作漫画:士郎正宗、89年)である。電脳化(脳とネットが直接接続)と義体化(サイボーグ化)が実現された世界を描いた。
『攻殻~』は、96年に米国のヒットチャート誌『ビルボード』の「ホームビデオ部門」の週間ランキングで1位となった。同時期のテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(庵野秀明、95年)、劇場アニメ『もののけ姫』(宮崎駿、97年)などとともにジャパニメーションという言葉で紹介されていたのをご存じの方もおられるだろうか。
2026年3月、虎ノ門ヒルズ45階にある「TOKYO NODE GALLERY」で開催中の『攻殻機動隊展 GHOST AND THE SHELL』に行ってきた。
『攻殻~』は、マンガ、劇場アニメの後、テレビアニメ版、新たな劇場アニメなど、さまざまな監督の手によって映像化され続けてきた。今回の展示会は、それら全シリーズを横断したものである。
内容は、メインの原画展示だけでも圧巻だが、最新機器を活用したインタラクティブ展示や、立体造形も見応えがあった。私のような作品ファンが大喜びする図録や多種多様なグッズ、カフェのコラボメニューなど、2度、3度と行きたくなる充実の内容。
全体を通して、『攻殻展』は「デジタル」と「アナログ」、「映像」と「物体」、「見ること」と「手ざわり」の掛け合わせが秀逸に感じた。思い返してみれば、そもそもの作品が「情報(電脳)」と「身体(義体)」の話である。コンテンツツーリズムは作品と現実をどうつなぐかが重要だ。こうした展示からは学ぶことが多い。26年夏には兵庫県立美術館での巡回が決まっている。

